ダンテの森    
17 Jul 2013   10:29:10 am
自転車事故の責任
自転車専用レーンを整備しない行政の責任が問われるべきではないか

 最近のニュースで気になったのが、自転車事故で高額の賠償金判決が出たと言うものである。2013年7月4日に神戸地裁が出した判決で、報道はつぎの通りである。

 小学5年男子児童の自転車にはねられて寝たきりの状態になったとして、被害者女性(67)の家族と保険会社が、男児の母親(40)に計約1億500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁が母親に計約9500万円を支払うよう命じたことが5日、分かった。判決は4日付。

 判決によると、児童は平成20年9月22日午後7時前、神戸市北区の坂を自転車に乗って時速20〜30キロで下った際、散歩途中の女性に衝突。女性は頭の骨を折るなどして意識が戻らない状態になった。

 田中智子裁判官は判決理由で、児童の前方不注意が事故の原因と判断。「自転車の走行方法を指導し、監督義務を果たしていた」とする母親側の主張について、「十分な指導や注意をしていたといえない」と退けた。その上で、女性が事故のために得ることができなかった逸失利益や将来の介護費などを考慮し、女性側へ約3500万円、女性に保険金を払った保険会社へ約6千万円を支払うよう命じた。

 TVに映された現場を見る限り、道路に自転車と歩行者の区分の無い結構長い坂道であった。このような事故は、自転車専用レーンを設ける事で防げ得たのでは無いだろうか。被害者家族と保険会社は、国に対して、国家賠償法の道路管理者に対する公権力の行使の不作為(権限の不行使)で訴えるべきでは無かったであろうか。

 自転車は、これからの持続可能社会の交通では重要な役目を果たすものである。自転車による事故が増えているのは、一向に自転車専用道路の整備が進まないからである。東京では、自転車の歩道上の通行が許されており、だれでも危ない思いをした事が有ると思う。政府の自転車事故対策は、交通安全教育・マナーに重点が置かれ、自転車走行空間の確保はこれからモデル地区を選定して、社会実験を行いたいと言うレベルである。世界中の大都市は、自転車専用レーンを整備している。日本の様な道路では自転車事故は防げない。国交省の怠慢である。


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08 Jul 2013   04:35:05 pm
時代逆行のリニア新幹線
高効率の新幹線技術が有るのに、低効率のリニア新幹線を採用
ブログ管理人

 200km 〜500kmの距離を移動するのに一番早い交通機関は高速鉄道であると言うのは、常識である。自動車なら、2時間から6時間かかり、飛行機だと正味のフライトタイムは200でも500kmでも約1時間である。と言うのは飛行機は巡航高度に達するまで約20分、巡航高度を離れて着陸までが25分掛るので、例え1000km/hで飛んでも変わらない、その上飛行機に搭乗するにはセキュリティーチェックなどが有る為、出発時刻の2〜30分は前に空港に行く必要がある。その上空港は都心から離れているので、高速鉄道が一番早い。

 ところで、東京―名古屋―大阪間にリニア新幹線を作ると言う計画が進められている。総工費は9兆円で、東京―大阪間が67分になると言う。

 ブログ管理人の興味は専ら、リニア新幹線の環境負荷はどうかと言う事であるが、電力消費についてはかなり以前から議論が有ったようである。1989年に朝日新聞がリニア新幹線は現在の新幹線の40倍の電力を消費すると報道し、当時大問題となった。それに対し、JRは40倍は昔の宮崎の実験線でのデータであって、最新の技術では5倍に過ぎないと、胸を張って答えている。ブログ管理人は全てを1/5の電力にしようとやっきになっているので、5倍では困るのである。

 リニア新幹線は、その名の通りリニアモーターと言う駆動方式で動く。車輪を電気モーターで回転させるのではなく、磁石の反作用で車体を浮かして(磁気浮揚)レールの間に敷き詰められた磁石を、電車の床の底にある電磁石の力で引き寄せたり押したりして電車を動かす。都営大江戸線はリニアモーターで動いている。回転型のモータに較べ隙間が多いリニアモーターは電力ロスが大きく30%は電力ロスが有る。このロスは熱となるので、全面トンネルのリニア新幹線では、この熱を取り去る為に冷房のエネルギーが必要である。とにかく5倍の電力が必要で、東京―大阪のリニア新幹線は石炭火力発電所1基分くらいの電力が必要である。現在の新幹線は1/4個位で運転している。

 現在の新幹線は乗車率55%で、ここ数十年横ばいであり、今後は人口減少が見込まれる日本では輸送量の問題は無い。2011年5月に行われたパブリックコメントで888件のコメントのうち、648件が計画中止か再検討を望んでいる。それでも同月2014年着工が決定されている。

 ドイツは、リニア鉄道から発せられる強力な磁力線の身体への影響が検証されていないと言う理由で断念している。中国も、健康への影響を理由にデモが起き、長距離線の着工は棚上げにされたままである。

 新幹線の老朽化が心配なら、その対策を本格的にやる事が先決でそれには9兆円は掛るとは思えない、なにも電気を5倍消費するリニア新幹線にする必要は無い。

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29 Jun 2013   02:22:23 pm
オバマ環境演説の波紋
意外と冷静な反応の米国市場とメディア、当然猛反対だが迫力に欠ける共和党
ブログ管理人

 6月25日のオバマ大統領の環境アクションプランは、多岐多様にわたり、全体として地球温暖化ガスの排出量を減少させる政策となっており、現在すでに現実のものになっている気候変動の被害を少しでも緩和したいとしている。

 重要な事は、2020年までに2005年を基準としてマイナス17%のCO2排出量にする事を国際公約として、これを約束している事を再確認していることである。

 この目標値は、達成可能である事は科学的に検証されているが、政府、企業、国民があらゆる分野で多大な努力が払われる必要がある。火力発電所、省エネ、HFC等の冷媒、メタンガスなど、これら全てに渡って対策が行われる。

 このスピーチでオバマ大統領はCO2を、過去に公害問題の原因となった水銀やヒ素などの有害物質と同列に扱い、EPA(連邦環境保護局)の監督分野としていることである。その為に火力発電所のCO2排出量に制限をかけることがEPAによって可能であり、新たな法律は必要としない。これにより野党共和党、市場、産業が反対することを封じ込める事に成功している。

 そして、アフガニスタンからの米軍の撤退後の世界におけるプレゼンスを環境問題への戦いのリーダーシップを取ると言う形で守ろうとしている。すでに中国、インドとは省エネルギー、排出ガス削減で協力関係を締結している。

 このスピーチにはじめは冷たかったアメリカのメディアであるが、ウオールストリートジャーナルは意外と冷静に受け止め、現実的であるとの評価も見られる。当然、石炭産業や電力会社の株は下がっているようであるが、予想されていた猛反発は出ていない。共和党の議員はメディアで経済的損失や温暖化懐疑論を述べているが、いまひとつ迫力に欠けるのは世論がオバマ側に有るからであろうか。

 オバマ大統領と対照的なのは安倍首相で、彼は石炭火力発電所や原子力発電所を世界に販売して30兆円を目標としている。三菱、日立、東芝と言う重厚長大のエネルギー依存産業を守りたい一心の安倍首相と、オバマ大統領の接点は見いだせない。これから安倍首相と仲良くしたいと考えているのは、G8でやはり蚊帳の外だったプーチン大統領であろう。ロシアと日本が手を組んで地球温暖化懐疑論のキャンペインでも始めるのか。それにしても、日本のメディアがこれを取り上げないのはどうしたものであろうか。

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20 Jun 2013   02:04:57 pm
富士山鉄道構想
富士山五合目まで、鉄道を開設 ――富士急社長、環境対策はドイツを手本にするべき

 6月20日付け各紙の報道によると、富士急行の堀内光一郎社長が東日本旅客鉄道(JR東日本)の大月駅と河口湖駅を結ぶ富士急行線(総延長26.6キロ)を、富士山の5合目まで延伸する構想を明らかにした。21〜23日に富士山が世界文化遺産に登録されることを受けて、観光用鉄道として建設を目指す構想だ。環境影響評価などのハードルもあるが、現行の自動車道路より排ガスが少ないなどの利点もある。

 鉄道が敷設されると、登山客の数は今とは較べものにならないくらい増加する。それでなくてもゴミの山と称されている富士山の自然環境を守る手立てが打たれなくてはならない。

 ドイツの最高峰はドイツの南端オーストリア国境にある標高2962mのツークシュピッツ(Zugspitz)である。この山頂へはドイツ側のガルミッシュ・パルテンキルヒェンからアプト式の鉄道でトンネルを通って2600mまで上がり、そこからロープウエイを氷河を渡って頂上に行く方法と、アイプゼー(Eibsee)から一気にロープウエイで頂上まで行く方法と、オーストリア側からのロープウエイで頂上に行く3つのルートが有り、世界中からの観光客でシーズンにはごったがえすが、ゴミは無い。ちなみに山頂には一流レストラン並みの料理とサービスが提供される4軒のレストランが有り、企業のセミナー等も盛んに行われている。

 高山の環境は低地よりもデリケートであるとの考え方から、開発当初から環境には細心の注意が払われている。

<水>は、上水道と中水道に分かれている。飲料などに使われる上水道は、毎日ロープウエイで運ばれ山頂に有る2.5トンの水槽に貯められている。トイレの水洗や清掃に使われる中水道は雨水と雪解け水が天水桶に貯められている。

<排水>については更に厳しく管理されている。全ての排水は頂上からふもとまで敷設された配水管でふもとの下水処理施設に運ばれ、処理後放流されている。

<ゴミ>については、まずゴミを出さない方法が考えられた。山頂で販売される飲食物には一切使い捨ての容器は使われない。つまり、ペットボトル、カン、紙コップ、紙皿等は一切使用禁止である。使われるのはガラスや陶器の食器で全てリターナブルである。それでも発生するゴミは分別されて、ふもとに運ばれて他の分別ごみと共にリサイクルされる。

<エネルギー>頂上は、太陽光線が強いので、太陽光パネル発電と太陽光温水器を使って、頂上施設の暖房を行っている。悪天候が続いた時のみ石油や天然ガスによる暖房が併用される。

鉄道を計画する時にはこのような環境インフラを、徹底的に整備するように監視をすべきである。
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12 Jun 2013   02:30:19 pm
エネルギーの民主化
協同組合が電力生産から供給まで行うドイツの町村

 今朝(2013-06-12 07:00〜)のNHK BS World Wave Morningで電力供給協同組合の事がNHKベルリン支局長の木村隆介氏の報告として放映されていた。取り上げられていたのは、ドイツ最北端の州、シュレスウィヒ―ホルシュタイン州の州都キ―ルの南に位置する、ホーニヒゼー(Honigsee)と言う人口475人/245世帯の村のバイオ電力協同組合とベルリンの市民エネルギー運動が取り上げられていた。  

 ホーニヒゼー村には、以前から民間のバイオガス発電所が有り、間伐材、トウモロコシの茎と葉、草などからバイオガスを作り、ガスタービンで発電をしていた電力を購入していたが、村はそれを買い取り協同組合にした。村の約50世帯が出資して組合を作り、組合長には村長のアレクサンダー・ニコライセン(Alexander Nicolaisen)氏が着いた。組合は営利団体であるが、利益は全組合員に分配される。

 この組合では、第二プロジェクトとして発電機からでる廃熱を各戸に温水として配る事業を始めた。これにより、各家庭のセントラルヒーティングの燃料代が大幅に安くなった。その為の費用負担は各世帯20万円程度であったが、これまで燃料費を年間20万円掛っていたものが、9万円の温水代で済み出資金は2年と少しで回収ができると村民は喜んでいる。発電機も1台増設し、年間800万kWhを発電し、村で消費するのはその半分で残りはFITで売電している。

 同村の第三のプロジェクトは太陽光発電であるが、現在協同組合で議論が沸いて居る。これを彼らはエネルギーの民主化と呼んでいる。これまでのような、エネルギー企業が利益を得る時代はドイツでは終わりに近づいているようだ。2011年現在全ドイツに586の電力協同組合が有り増加の一方である。

 このような動きは小さな村での話だけではない、大都市ベルリンでも市民エネルギー運動が起きており、ベルリン市の配電を市民が買い取ろうと言う市民運動を率いているのは、ルイーゼ・ノイマン−コーゼル(Luise Neuman-Cosel)と言う女性だ。市民の反響は上々ですでに70億円が集まっているという。

 このような動きが可能であるのは、ドイツでは1989年から電力の発電、送電、配電が分離自由化されていた為である。自由化後、電力市場は分離や再編や送電は4社に集約され国家の管理下に置かれるなど、紆余曲折を経て既に電力ビジネスそのものが、日本の様な電力村によるものでは無くなっていると言う背景が有る。やはり日本は20年以上遅れており、残念ながら隔世の感が有る。
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