ダンテの森    
28 Mar 2012   10:44:50 am
車を使わない都市
徒歩と自転車で市民はより健康に

 車を使わない都市づくりが都市における持続可能性社会のキーとなる。

 カナダの人口62万人のバンクーバー市は2009年に世界で最もグリーンな都市に選ばれた。

 Greenwayと名付けられた道路網が整備され、市民は殆どの用事を徒歩で片づけられるように計画されている。歩道はサイクルパス(自転車道)とは植樹で分離され歩きやすく、沿道には市民の美術作品が展示され歩く人の目を楽しませる。ロータリーには小公園がしつらえられ休息もとれる。信号は歩行者優先で制御されている。行き先案内版が整備され道に迷うことも無い。

 市の調査によると、30分の歩行で殆どの用が足せる都市計画が効を奏し、市民の移動の17%が徒歩で行われ、これは一日30万回である。市の中心部では移動手段の27%が徒歩で有る。

 市は徒歩では遠い距離には自転車を使う事を勧めている。その為市はサイクルパスの整備を進めている。サイクルパスは車道と歩道からは植樹やプランターで分離されている。2009年現在で総延長400kmのサイクルパスが整備された。2010年に市内中心部で行われた調査によると市内での移動手段の内訳は、徒歩44%、公共交通機関27%、自動車22%、自転車7%となっている。因みにサイクルパスは道路面積の1%でしか無い。

 徒歩と自転車の使用率の増加と共に市民の疾病率は下がっていると報告されている。

 是非とも東北の沿岸都市部の復興計画に当ってはグリーンな都市計画が実施できる最大の機会と受け止めて政策立案者は車を使わない持続可能性都市を計画してもらいたい。

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10 Jan 2012   06:03:56 am
排出権取引
公害問題から生まれた商業的制度

 各国家や各企業ごとに温室効果ガスの排出枠(キャップ)を定め、排出枠が余った国や企業と、排出枠を超えて排出してしまった国や企業との間で取引(トレード)する制度である。京都議定書に規定されており、温室効果ガスの削減を補完する京都メカニズム(柔軟性措置)の1つ。

 1990年代前半から、アメリカ合衆国で硫黄酸化物(SOx)の排出証取引が行われた。排出枠を定めたうえで、排出枠を下回った者がその削減分に付加価値をつけて排出枠を上回った者と取引するもので、硫黄酸化物の排出量の削減に大きく貢献した。アメリカはこの経験を踏まえ、京都議定書に排出取引制度の導入を強く求めた。同国はその後に京都議定書から離脱したが、排出取引制度は京都メカニズムとして残った。これは排出枠の対象を温室効果ガスと国単位に変えたものである。

 排出取引制度が導入された背景には、温室効果ガスの排出量を一定量削減するための費用が、国や産業種別によって違いがあることが挙げられる。例えば、これから開発する開発途上国では、すでに先進国で開発された技術を導入すれば温室効果ガスを削減できるので比較的小さい費用で済む。一方、これまでに環境負荷を低減するために努力してきた先進国では、更なる削減には新しい技術やシステムを開発する必要があり、多大な投資が必要となる。排出取引の制度を導入すると、削減しやすい国や企業は炭素クレジットを売ることで利益を得られるので、削減に対するインセンティブが生まれ、より努力して削減しようとする。

 ただしその一方で、先進国がより少ない投資や労力で済む排出取引を積極的に利用してしまうと、温室効果ガスを削減するための新たな技術やシステムの開発の必要性が薄れ、技術やシステムが広く普及してしまえば削減が難しくなり、結果的に温室効果ガスの削減が停滞することも考えられる。

 世界全体での排出取引の市場規模は、2007年時点で約400億ユーロ(約4兆円)前後であるが、急激な拡大を見せており、今後も拡大は続くと予想されている。取引総量は2007年時点で27億トンで、これも急激に増加している。

銀行や証券会社が、金融商品として排出量を株式や債権と同じように取引する試みもある。


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03 Oct 2011   06:05:51 am
「成長」を管理する
ニコラス・スターン卿の報告

21世紀の根本的な問題は一言に言って「成長」の管理である。ここで、英国の経済学者ニコラス・スターン( Nicholas Herbert Stern )の2006年の報告( The Economics of Climate Change )の概要を紹介しておく。

●地球温暖化のリスク: 地球温暖化は非常に深刻かつ全地球規模でのリスクであり、世界規模での緊急の対策を要する。気候変動を無視すれば、経済発展が著しく阻害されるリスクがある。このリスクは、二度の世界大戦や20世紀の世界恐慌に匹敵する。 2 - 3℃の温暖化の場合、世界のGDPの0 - 3%に相当する損失が発生する。

●緩和策の効果: 気候変動に対する早期かつ強力な対策により得られる利益は、そのコストを凌駕するとした上で、つぎのように指摘している。

現在行う対策の効果が現れるまでには長い時間がかかる。しかし今後10 - 20年間に対策は、今世紀の後半とそれ以降の時代に決定的な影響を及ぼす。影響を予測するのは難しいが、現時点で支払われるコストは、将来非常に重大な結果を引き起こすリスクを回避するための投資と見なされるべきである。賢く投資すればこのコストは支出可能な額になり、その過程には成長と発展の幅広い可能性が存在するであろう。

●対策しない場合の被害予測: 今世紀半ばには、嵐や洪水、旱魃、熱波などの極端な気象現象によるものだけで被害額がGDPの0.5 - 1%に達し、温暖化が続けばなおも増加する。 5 - 6℃の温暖化が発生した場合、世界がGDPの約20%に相当する損失を被るリスクがある。

Source: wikipedia.org

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01 Oct 2011   07:28:51 am
バイオミミクリ―
生物から学ぶ環境工学

生物には種族保存の原理が働く為にありとあらゆる手段で究極のエネルギーの効率化を追求している。数万世代にもわたり改善されてきた成功例のみが現在も地球上に存続している種族である。

この生物の持つ特徴を模倣するのがバイオミミクリ―である。有名な例ではハスの葉の表面には水滴が着かない事を模倣した撥水塗料が有る。

この分野ではカリフォルニア大学バークレー校が先陣を切っており、タマムシが50kmも離れた熱波を感知することを研究し超高感度赤外線センサーの開発を行っている。また、あたかも重力など存在しないかの様に自由に空間を動き回るヤモリの皮膚を模倣したマイクロファイバーを開発している。この繊維を使うとほぼ垂直に立てられた壁に品物を滑ることなく置く事ができる。Biopower Systems社は海藻やマグロの動きを模倣した波力発電システムを開発した。ジンバブエのハラレ市に完成したイーストショッピングセンターは蟻塚のエアコンシステムを模倣する事で90%の省エネ、ファクター10を実現している。この他ナミブ砂漠に住む甲虫が水を集める方法を模倣して高効率の水ポンプを開発しようとの研究も有る。

生物は幾万年にもわたり究極の省エネルギーでこのかけがいの無い地球を守ろうとしてきた、それを生物の一種族である人類はわずか200年間で資源を貪りつくし、環境を汚染しほうだいにしてきた。持続可能社会の建設は人類に課せられた緊急課題である。
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18 Sep 2011   05:48:07 am
エネルギーと市場経済(2)
強大な市場経済の力

昨日(9月17日)のブログではファクター5の著者ワイツゼッカー博士の解釈によるリーマンショックに到る過程ついて書いたが、あの話からは3つの事を考えさせられる。
●まず、燃料が1ガロン1ドル(リッター20円程)であった頃、人々は安易にSUVや郊外住宅地からの自動車通勤などに走り、地球温暖化の問題はそっちのけになってしまっていたことである。
●次に、市場経済にとってエネルギーは大手の証券会社が破たんする程大きな市場破綻の原因になり得ると言う事で、地球温暖化が孕む問題の深刻さ、大きさを示唆している。
●最後はエネルギーの価格は必ずしも需要と供給の関係で決まっているのではなく、一部機関投資家の投機の対象となることでその価格が決定されていると言うことであろう。
エネルギーは今後も「市場」と言う得体の知れない化け物の格好の投機の対象となり続ける可能性が高い。「市場」は今後、再生可能エネルギーやCO2排出権等も虎視眈々と狙っており、その市場規模が十分に成長するのを待っている。
持続可能な低炭素社会への前途は多難である。
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