大量のエネルギーを使うセメント製造
重工業のエネルギー消費の大口は製鉄とセメントであるが、セメント製造はGHG(地球温暖化ガス)全体の8%を排出している。そして生産量は今後も増え続け2005年に25億トン製造し18億トンのCO2を排出したが、2030年には50億トンの生産量となり36億トンのCO2の排出源となる予定であることは9月7日にも述べた。
現在セメントと言えばポートランド・セメントを指すが、この製造工程にはキルン(回転焼結窯)がある。200年前に発明された当時は乾式キルンであったが、品質管理を容易にする方法として湿式キルンが開発された。しかしこの方法は乾式に較べ35%ものエネルギーを余計に必要とする。
前工程のグラインド(粉砕)工程を改良する事で粒子の均一化が可能となり乾式キルンでも品質管理が可能となる。エネルギー価格の高騰に対処する為にセメント産業は工程改良を行い湿式から乾式に移行している。最大のセメント生産・消費国である中国では現在のところまだ湿式が中心である。
2004年には世界の63%が乾式キルンに移行を終えた事により1990年には5.4GJ/tonであったエネルギー消費が2004年には4.5GJ/tonとなった。2010年には80%が乾式に移行し、2030年には95%は乾式キルンとなり中国では100%が乾式となると推測されている。
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