意外と進んでいる中国とカリフォルニア州
世界のエネルギー消費大国はアメリカと中国である。
2006年に中国では新建築基準(Design Standard for Energy Conservation in Civil Buildings)が導入された。この基準は建築主と建築請負業者に対しエネルギー効率の高い材料の使用と暖冷房、換気そして照明に省エネ設計と省エネ機器が使用される事が義務付けられた。これは第11期五カ年計画の建築部門の目標である高効率エネルギー建築化に基づいている。
アメリカにおいては基本的に各州毎に建築基準が定められている。このことは1995〜2006年までのレーガン、ブッシュ、W.ブッシュ政権の間それなりに機能した。1970年代から一定割合の再生可能エネルギーの義務化が導入された。後年になり異常気象が地球温暖化から来るものと言う理解の浸透や原油価格の高騰が後押しする力になった。特に広大な面積を保有する農家にとっては太陽光パネル発電所や風力発電所を新しい収入源になるとの考え方が広まっている。
マサチューセッツとカリフォルニア州は他の全米とは異なる推移を示している。この両州では「安い事は良い事」を合言葉に電力事業者は常に低価格の電力を選択した。省エネ機器の使用が進む両州においては電力需要は頭打ちとなるので、仕入れ価格を下げる事で業績を上げる事を迫られたからである。これはファクター4で紹介した1970年代にAmory Lovinsが提唱したネガワット(Negawatts)の考え方に合致するものであった。コスト削減の目玉は新しい発電所を建設しない事であった。新発電所は地元住民の強い反対の中での建設となり、多大な補償と工期遅延による損失がついて回り、高くつくからである。
州政府は省エネ機器の使用が広まった為に、減少した電力使用量に応じた電力料金の値上げを認めた。電力料金が上がっても、使用量が下がっている為に使用者の支払い金額は変わらないからである。この政策により全米平均の一人当たりの電力使用量が年々増え続けているのに対しカリフォルニア州では1970年から35年間増えていない。(図参照)
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