投資家にも労働者にも利益をもたらす持続可能社会に向かって
先進工業国における労働生産性の向上は、全ての階層において多量の失業者が発生している現在、すでに最重要課題とは言えなくなっている。もちろんトップクラスの頭脳は世界中から求められており、その価値は天井知らずに上がっている。その一方で、普通の教育レベルを持った人も含め数百万人が職場を求め求職活動を余儀なくされている。
資源の効率化を単なる市場競争の為の要素とすり替えようとする事は職場の現象を招く可能性を含んでいる。このような場合、強い政治的リーダーシップで税制の改革により規制を行う必要が出てくる。省資源は必ず企業にとって有益であること、そして新たな職業訓練を伴わない職場の削減は引き合わない事を税制上の仕掛けで担保する必要がある。これがエコロジーに基づいた税制の改革である。
1970年代に起きたオイルショックでは期せずしてその実験が行われる事になった。高騰した原油価格は、単に新たな化石燃料を探索する事に投資するよりもエネルギーをいかに効率的に使うかに投資する方が有利で有る事を証明する結果となった。
図はエネルギーの重要度を示すものである。縦軸は100万ドル(7800万円)のGDPを達成する為に使われたエネルギーの総量を原油のトン数に換算したものである。原油価格が上昇した時期にエネルギーの重要度は下がっている事が示されており、まさにこれが期待されているグリーン経済への移行のパターンである。
「ファクター5」では数々の産業分野における80%もに達する革命的な省エネの実例を紹介しているが、これが新たな経済の波となる為の、爆発的なダイナミズムを得る為には、省資源は資本家にも労働者にも利益をもたらすと言う事が長期にわたり担保されるような税制上の仕組みを作る必要がある。
これが長期的でダイナミックなエコ税制改革である。
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