持続可能社会推進の道具としての市場経済
1970年代に先進国は公害問題を法的規制を取り入れる事で乗り越える事ができた。しかし、エネルギー消費を抑制する様な考え方はそこには全く盛り込まれていない。
資源の有効利用やエネルギー効率アップを促進する法律は作られてはいるが間接的で、殆ど自主規制を重んじたものになっている為必ずしも効果を上げているとは言えない。
この1970年代から企業は社会貢献を企業のCSR(Corporate Social Responsibility)と呼んで企業の活動目標の一部に取り入れるようになってきた。これは消費者の厳しい目を少しでも緩和させようとする動機から出てきたものであるが、これを持続可能社会形成の為に利用できればその動機は重要では無くなる。高邁な動機から始められても成果が出なかったものは数限り無く有る。
CSRは企業の悪名を挽回するには最適の方法であるし、エネルギー効率を上げる事は社会貢献ができ、しかも企業利益の増大にも通じるので企業にとっては良い事ずくめであるところから1992年にWBCSD (World Business Council for Sustainable Development) 持続可能な開発のための世界経済人会議が設立された。
そのゴールの一つが1999年に発表された「自然資本主義(Natural Capitalism)」であるが、それから10年経った今日、我々は今なお同じ事を叫び続けている。
GDP至上主義は少しずつ陰りを見せて来てはいるが、先進国の中にはいまだに更なる消費の拡大をしようと別の化石燃料を探索しようとしている国もある。企業によるCSRでは今必要な変化量には程遠い。
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自然資本の経済―「成長の限界」を突破する新産業革命
原書名:NATURAL CAPITALISM; Creating The Next Industrial Revolution (Hawken,Paul;Lovins,Amory B.;Lovins,L.Hunter)
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