ライフサイクルアセスメントで評価をする事が必要
炭素繊維を製造する際には、石油を精製して得られたアクリロニトリルを紡糸、焼成して炭素繊維にする。この際1000℃以上の高温で焼成するので、炭素繊維1トンを製造する際に20トンのCO2を排出し、一見環境負荷が高いように見える。
しかし、この炭素繊維の環境への影響を、LCAライフサイクルアセスメントという手法により、原料採掘から炭素繊維製品の使用、廃棄までを含めたライフサイクルで評価する事ができる。その結果、自動車に炭素繊維を使用して車体構造を30%軽量化した場合は炭素繊維1トン当たり50トン、航空機で機体構造を20%軽量化した場合は1400トンの削減効果が10年間のライフサイクルで得られる。
例えば、日本の乗用車(軽自動車を除く保有台数4200万台)や旅客機(保有機数430機)に炭素繊維が採用され、軽量化による燃費向上を図れば、そのGHG削減効果は3200万トンになる。これは、2006年の日本国内CO2総排出量(13億トン)の約1.5%に相当し、炭素繊維はCO2削減効果は大きい。
東レが2011年に発表したコンセプトカーTEEWAVE AR1(写真)はCFRPモノコックボディーで重量900kgと従来のEV車の2/3と軽量である。航続距離185km、最高速度147km/h、最も大きな特徴は衝突安全性が2.5倍になっている事である。
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