GHGの排出を増やす悪質化石燃料
カナダ政府が12月13日に「京都議定書」から脱退した理由はオイルサンドにある。
カナダ、アルバータ州のマサバスカ川の流域にオイルサンドの露天掘りサイトがある。黒くネバネバした原油と砂の混ざり合ったちょうどアスファルトのような物体が森林の下に層をなして埋まっている。それがオイルサンドだ。
以前は採掘コストが高いと誰も興味を示さなかったが、原油価格が高騰し2020年までには1バレル(160リットル)140ドルにもなると予測されるようになると俄かに商品価値が出てきた。
現在、日量75万バレルを生産、パイプラインで州都エドモントンや遠く米国の石油精製施設に送られている。オイルサンドから1バレルのビチューメンと呼ばれる中間製品を得るためにはまず森林を伐採し表土を2トン取り除きその下にあるオイルサンド2トンを掘り出してそれに3〜4バレルの80℃の熱湯をかけて油を砂からはがす。つまり160リットルの中間製品を得る為に4トンの土と砂を移動させ、数百リットルの熱湯を必要とする。つまり30倍のエコリュックサックを背負っている。これらに30ドルの費用が掛っており、これはアラビアで原油採掘に掛る費用の10倍の費用である。そしてCO2の排出は3倍以上である。しかしエコノミスト達は加えたエネルギーの5倍のエネルギーを取り出せるので採算が成り立つと言う。
カナダ政府はオイルサンド開発に2008年だけで1兆8000億円をかけ、過去10年間で4兆5000億を投資した。その甲斐あってこのオイルサンドを原油に置き換えるとカナダは今や世界第二の原油産出国となった。
この既得権益を手放す事はできないのでカナダ政府は京都議定書からの離脱を選んだ。
原油が値上がりすると再生可能エネルギーの開発が進むべきであるが、少しでもコストの安いサンドオイル、石炭液化、メタンハイドレート等の地下資源に目が向いてしまうのは何故だろうか?
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