省資源技術は過去には更なる資源消費を招いた
21世紀の最大の課題は経済発展における環境マネージメントである。
人類がこれまで経済発展と言うと必ず資源消費の増加が伴っていた。資源とは木材であり、石炭、石油、水、その他の鉱物資源のことである。森林の減少や油田開発による自然破壊が起きてもそれが経済発展にブレーキをかける程の障害にならない限り問題にはされる事がなかった。気候変動でさえ、この状況を変える事は無かった。
ニコラス・スターンは「我々が次の10年間にできることは、今我々が直面している環境問題は20世紀の世界大戦や経済危機で失ったものより更に大きなものを失うであろう。そしてこの失おうとしているものは、取り返す事が非常に困難であるか、全く不可能である。故に我々は緊急に決定をしなければならない。」と言っている。
しかし、これは簡単な問題ではない。何故なら経済界は経済は発展を続けなければならないものとしており、その為にはもっと資源の消費が必要であると考えているからである。
ファクター5の第一部では省資源は我々の生活の快適度を損なう事無く達成できる事を数々の実例を上げて説明している。しかし過去の経験によると、省資源技術が成功した分野では、更に消費が増える結果となっている。これを省資源のリバウンド効果と呼んでいるが、この問題を克服せずに環境問題の解決はない。
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