革命的なデザインを行うのに必要な戦略
昨日に引き続き車の設計の話である。ファクター5が提案する設計戦略では、まず車体重量を安全性能を考慮した上で、最軽量な車体の設計を行うことから始める。
次に推進系であるが、軽くなった車体を動かすのに十分かつ最小・最軽量のパワートレインつまり、エンジン、クラッチ、変速機、プロペラシャフト、ディフェレンシャルギアの最小化設計を行う。
次にシャーシー設計は軽くなった車体と推進系を乗せるシャーシーの最小化を設計する。電装部門はここまで設計された全ての仕様を考慮に入れながら最小化・最軽量化を設計する。整備の為の設計と空力設計はそれぞれ最小化を目的に設計をする。
ロッキーマウンテン研究所はこの設計戦略を用いてハイパーカーの車重を52%軽減する事に成功している。
車体は低密度高張力のカーボンファイバーやケプラーと言った新素材を取り入れる事で安全性を保ちながら軽量化を行った。軽量化された車体を推進するには推進系の転がり摩擦係数が減る為に車体が軽くなった割合以上にエンジンの出力は小さくて済むと言うように掛け算で軽量化が進み大幅な軽量化が可能となる。
従来の設計方式は短期間で新デザインを行うのに適しているが、画期的な変革を行うには柔軟性に欠ける。この方式ではデザイン全体の時間は掛るが画期的な変革が可能である。
しかし、実際の自動車産業では、この設計変更に基づく生産設備の変更、冶工具の設計、生産管理体制の変更、品質管理設備と体制の変更など工場全体にわたる大幅な変更が生じる。
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