ライン河の水は10回リサイクルされている
水資源に関しては旧来から存在する水利権と水質汚染対策の規制がうまく絡み合って大変幸運な状況が形成された。
水資源利用の優先順位は工業先進国において、1960〜1970年代の河川、湖沼、海洋、地下水の水質汚染問題への解答として、国境を越えての規制が導入されて行った。2000年10月にEUで採択されたEU水枠組み指令で、EU地域の水質を持続可能に利用でき生態学的に健全な状況にする事を目的にしている。これ以外に1983年採択のEC飲料用水指令がある。
最新の標準値は現在の水道水に含有される可能性のある48の微生物と有機物質について細かく数値で規定されている。これらは定期的に検査され報告されている。人口密集地域にあってはより厳しい標準が適用され水道水の供給配管システム内に検査地点を定めて検査が行われている。
水道水の供給企業は水道水の元となる河川、湖沼、貯水池、地下水に対する数々の水質規制がより厳しく掛けられるように議会に対してのロビー活動を展開している。その目的は彼らがより清浄な水を原料として入手できるようにする為である。
これが効をなして都市排水、工業排水に対する規制は大変厳しいものとなった。そのお陰でEUの水質は著しく改善された。例えばスイスに源流を発しドイツ、フランスの人口密集地域と重工業地域を流れ、オランダから北海に注ぐライン河の水質は浄化が進んだ。ライン河から取水されて再び放流される水の水質は河に放流ご直ちに取水しても上水道として利用が可能な程である。このお陰でライン河の水は10回以上再利用されており、ファクター10を達成している。
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