キ―となるコンポーネントは熱交換器
建築はGHG(地球温暖化ガス)の40%に責任がある。その中でも冷暖房と換気(HVAC)に使われる電気エネルギーが最も多く2003年のデータによるとアメリカでは建築物の電力使用量の30%、欧州では56%、中国では61%となっている。
パッシブハウス基準では建築物は高断熱・高気密構造であり、自然換気は行われず、制御された強制換気のみである。取り入れられる外気は熱交換器を介して室内に導入される時に予熱・予冷され可能な限り室内温度に近付けられたのち室内に取り入れられる。
この熱交換器はパッシブハウスにおける中心的な設備である。ドイツ社ハインツ・シリング(Heinz Schilling)社で開発され世界特許も取得している反対流層熱交換器と呼ばれるこの技術は90%のエネルギーのリサイクルを可能にしている。
外に排出される空気や排水の持つ熱量をリサイクルして外気の温度をできるだけ室内温度に近付けることができる。
図では10℃であった外気を28℃に暖めるのに熱交換器内を流れる熱媒体の温度は30℃から12℃に変わる。この為に使用する電力エネルギーは1kWhで、50kWh分の冷暖房を行うことができる。つまり、冷暖房に使用する電力量が1/50になる。もし、日本の全ての建築物がこの方法を採用したとすれば、それだけで原発なしでの電力供給量の問題は解決するのである。
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