現状のままの中国農業こそが持続可能社会にマッチ
中国では農業分野に於いて理想的な資源の効率利用が行われているが、残念な事にそれは経済の発展に伴い崩れようとしている。
まず、この国の高い食糧自給率は食糧の長距離輸送による輸送の為の燃料消費を抑える事でフードマイレージに貢献している。
高密度の野菜生産は比較的に狭い耕地面積で無駄なエネルギー消費を行う事無く多くの人の胃袋を満たしている。中国の農業は労働力集約産業であり、農民の報酬は驚くほど低く抑えられている。中国では100ヘクタールに300人が就労している。米国では2人で、世界平均は27人である。
当然、農業の機械化は遅れており1000ヘクタールにトラクターが6台である。アメリカでは27台、世界平均は18台である。
中国の農業で非常に高いものは肥料の使用量で1ヘクタール当り279kgで、世界平均の2.5倍である。しかし、この大半は農作物そのものが堆肥となって使われており、エネルギーを大量消費する化学肥料使用を最低限に抑えている。化学肥料は1902年にドイツのフリッツ・ハーバーとカール・ボッシュによって発明され、高圧と高温を必要とするアンモニアの製造法は発明当時「水と石炭からパンを作る」と持てはやされ現在も広く使われているが、1トンの肥料を作るのに30GJ(ギガジュール)を必要とする。因みに鉄1トンを作るのには20GJのエネルギーを必要とする。
しかし、中国政府は都市部と農村部の格差の是正を図るために農村部への機械化の推進を行い、農業へのエネルギー注入を行おうとしている。点滴灌漑などを使った省エネ農業を目指して貰いたい。
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