経済問題は数年に時間をかければ解決できても、地球環境は今すぐ手を打たなければ取り返しが付かなくなる。
7月16、17日にベルリンで世界環境大臣会議が開かれた。この会議はドイツのメルケル首相と本年12月7日開催される国連環境会議の議長国であるカタールが世界に呼び掛けて開催されたものである。
開催に先立ちメルケル首相は地球温暖化対策の目標に掲げている2℃はそう簡単に達成できるものではないとし、参加各国の代表に対し社会や政府の抵抗に打ち勝つ努力を求め、「世界には環境問題を議論することから距離を置こうとする勢力が多く存在する。」この難解なテーマをさらに難しくするのは「環境保護そのものが、その形態を変化し続けることにあるからです。」と訴えた。
また、彼女は世界のこの問題に対する姿勢の変化にも触れ、「私が環境大臣であった1994年頃は世界中が環境問題に強い興味を持ち挑戦的であったが、今は環境問題を論ずることすら戦いになっています。これを元に戻さねばなりません。」と語った。さらに2009年のコペンハーゲンの国連環境会議を振り返り、首脳レベルの会合は「誰が、どの程度のことならやっても良いと言うかを観察する、興味深い演習だった。」とし、京都議定書の期間終了の2012年から2020年までの新たな枠組み作りをしなければならないとしている。
この会議は本年カタールのドーハで開かれる国連環境会議が実りあるものとなるようにと、メルケル首相が旗を振って各国の環境大臣を招待した結果31カ国から大臣級の参加があった。目的は各国の環境大臣にやる気になってもらいドーハ会議での議事の進行がスムースに運ぶ事と、各国の積極的な関与が必要である事を訴える為である。このところの国連環境会議にはテンポが欠けて来ている。世界に広がっている経済不況、各国の財政状況の悪化、ユーロ危機等の経済問題の陰に環境問題が隠れるような事がないようにする為である。
経済問題は何年か時間をかければ解決できても、地球環境はこの数年で我々がしかるべき手を打つことをしなければ永遠に取り返しがつかなくなってしまうのである。
ドイツは独自に1990年を基準にして2020年に40%、2030年に55%、2040年に70%、2050年には80-95%の地球温暖化ガスの排出削減を決めている。
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