資源とエネルギーの価格を長期的に上昇させる
だんだんと問題の核心に近づいて来たので内容が難しくなってきたが、大事なところなので我慢して読んでいただきたい。
ファクター5では持続可能社会を実現する方法として環境税の導入により長期的に原材料及びエネルギーの価格が上昇し続ける政策を提案している。
その中心的な考え方は、資源生産性とエネルギー効率の向上の度合いに従って原材料とエネルギーの価格が着実に上昇し続ける様な政治的合意を形成すると言うものである。
その価格決定方針の基準となるべき条件は次の通りである。
―管理と制御の単純性
―予測とその信頼性
―社会と経済界の受容性
政治はこれらを完全なるガラス張りの中で行って行く事が重要となる。
資源生産性の向上と省エネの達成度合いを測定し、次年度を予測し、原材料とエネルギーに課する環境税を決定する事で価格の上昇を軌道に乗せて行く必要がある。
この政策が回転し始めると、平均的な資源生産性の向上と省エネを実施している限り原材料とエネルギー価格の上昇が家計や企業の税務状況を悪化させる程のインパクトを与える事は無い。しかし、依然原材料とエネルギーの浪費を続ける人々や企業のとっては値上げはインパクトとなるであろうし、その逆に平均以上に資源生産性や省エネを進めた家庭や企業は利益が増加する事になる。
この戦略が最も経済的におおきなインパクトが働く国々は、中国、バングラデシュ、米国、日本、ドイツ、エジプト等の原材料、エネルギーを輸入に頼っている国々である。
これらの国々では、資本や知的資源を可能な限り国内に残すことを考えながら資源やエネルギー輸入に依存しない産業構造の変更をある程度考えなければならないだろう。しかし、この様な措置が必要な国の数は限られており、大多数の国では低炭素社会経済への移行は可能としている。
|