環境に優しく、強く長持ちするジオポリマーセメント
現在使われているセメントはポートランドセメントで製造時に大量のエネルギーを消費し、CO2を排出しており、これをジオポリマー・セメント(古代セメント)に置き換えることで地球温暖化ガス(GHG)の大幅な減少が可能である。
オーストラリアの研究機関CSIROがジオポリマーセメントについて研究の結果、現在ポートランドセメントが使われている全ての用途に置き換えが可能であるとしている。CSIROがジオポリマーセメントの機械的強度を測定したところ、打設4時間後の強度が20MPa(メガパスカル)、高湿度に保たれ28日経過後には90MPaである。ポートランドセメントの標準強度は36MPaで、超高強度の場合60MPaである。また凝固時間は短く-20℃では10時間、+20℃では1時間と短い。
マドリッドのエドゥアルド・トロハ研究所がジオポリマーセメントで鉄道用枕木としての研究をした結果大変良好な結果を得ている。鉄道用枕木はコンクリートの用途としては最も機械的負荷が高いものとして知られ、これに使用可能であると言う事は全ての用途に適応可能である証明となる。
ジオポリマーセメントの研究が始まってまだ20年しか経過をしていない事から経年劣化についての検証がされていないとの議論が有るが、ジオポリマーセメントが古代セメントとも呼ばれるように、歴史を振り返る必要がある。古代ローマの建築物は火山灰をセメントとして使っていた事が分かっている。火山灰はまさにジオポリマーである。2000年経った今もローマのコロッセオやパンテオンを見ればその経年強度は殆ど劣化していない事が証明されている。
建設業界としてはコンクリート建築が50年の寿命として建て替え需要があることの方が環境保護よりも重要だと考える向きも有るようである。しかし、それはグリーン経済、すなわち持続可能社会への移行の過渡的な問題に過ぎない。
ジオポリマーセメントについては当ブログ2011/12/11、2011/9/7等にも詳しい。
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