2011年の世界のCO2排出量は10億トン増加――2012/5/24 IEA発
国際エネルギー機関(IEA)の試算によると、2011年に世界のCO2排出は化石燃料の使用量増加により、31.6 ギガトン(Gt)の過去最高値に達した。これは2010年に比較して1Gt(3.2%)の増加である。GHG排出のトップは石炭で45%、続いて石油35%、天然ガス20%であった。
IEAの世界エネルギー・アウトルック2011の450のシナリオが目標とする、地球気温の上昇を2度に50%の確率で抑える事のできる為に、2017年にCO2が32.6Gt以下であるべきとする排出量レベルに肉薄している。450のシナリオはGDPとCO2のデカップリング(関係分離)を実現する為のものであるが、昨年の排出量の増加はそのシナリオの実現への道がさらに遠のいた感を与える。
2011年にOECD諸国は0.6%のCO2排出減に寄与した。最大のCO2増加は中国で7億2千万トン(9.3%)を主に石炭消費の増加によるものであった。しかし、中国はこの短期間に多大な省エネの努力を払った結果2005年から2011年の間にGDP当り15%のCO2減を達成している。もし中国のこの努力がなければ15億トン以上であったと推定できる。
インドは1億4千万トンでロシアを抜いて4位となったが、インドの一人当たりのCO2排出量はOECD諸国平均の15%に過ぎない。ちなみに中国は63%になった。
アメリカの2011年のCO2排出は9千万トン(1.7%)削減された。その主な要因は発電を石炭から天然ガスに切り替えたことと昨年の冬が比較的温暖であった為である。アメリカは2006年以来4億3千万トンの削減を交通機関の省エネにより達成している。EUは6億9千万トン(1.9%)削減している。日本は福島原発事故により石炭火力発電が増加した為に2億8千万トン(2.4%)排出量を増やしている。
http://www.iea.org/newsroomandevents/news/2012/may/name,27216,en.html |