(1)エネルギー効率の改善
エネルギー効率の改善はファクター5で最も多くのページを割いている戦略である。最も早く、簡単に実現できそして費用対効果も良くGHG(地球温暖化ガス)の抑制ができる方法である。
前著ファクター4が出版された1970年代には省エネと言えば10〜30%を議論されていた。1980年代になると50〜80%が議題となり、1990年代からは90〜99%もの省エネが現実として報告されている。
全米省エネ同盟(US Alliance to Save Energy)は50%の省エネを実施してもアメリカ経済は産業も家庭も現在の水準に全く影響が出ないと言う見積りを出している。
タイムマガジンが1973年から2009年までに省エネされたエネルギーの総量を集計したら、原油の使用量の1年分、石炭と天然ガスの2年分、米国国内の原発が発電する電力の6年分に相当するとしている。
ファクター5で更に新たな事実も報告している。ACEEE(全米省エネ経済会議)は省エネは300億ドルの資金で1000億ドルの産業を生み出すとしている。
持続可能システム設計者のAmory Lovins氏によると、現存する省エネ技術の最も優れた技術を選び、その全てを投入すれば米国が輸入している原油と天然ガスの量を半分にし、総電力需要は1/4になるとしている。つまり、米国が氏はらている燃料の輸入価格は半分になり、各家庭の電気料金は1/4になり、米国のGHG排出量は現在の半分以下となるとしている。
2008年のマッキンゼイ報告によると、現存する省エネ技術を採用する事で「壮大な結果」つまり2020年には世界は現在の消費エネルギーの半分になるとしている。そして各セクターで実施される省エネ技術への投資は多くの配当が得られるとしている。マッキンゼイによれば平均して17%の配当が試算されており優良投資先であるとしている。結果として2020年には9000億ドルの省エネが可能となる。
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