市街地サーモグラフィーで地域単位での省エネ計画に役立つツール
建築はGHG(地球温暖化ガス)排出量が一番多く40%を排出している。地域差はあるが、おおざっぱに言ってオフィス商業ビルではその50%が、住宅では30%が暖冷房に消費されている。
ファクター5では建築物をパッシブハウスにする事で、建築物の消費エネルギーを80%以上削減が可能である事が紹介されており、このブログでも何度も取り上げている。
従来の建築物は余りにも断熱が悪く、家庭やオフィスで消費される暖冷房の為のエネルギーの殆どは、建築の主な構造体である柱、壁、窓を通して外に漏れてしまっている。これは構造体に使われる材料が熱の良導体である事から起きている。室内を暖冷房しているつもりが、街全体を暖冷房しているようなものである。建物を断熱効果のある材料で包み込み窓はガス入りペアガラスや断熱フィルムを貼る事で解決でき、これは新築に限らず改築でも十分な効果が得られ、外断熱と呼ばれている。
サーモグラフィーと言う技術が有る。物体から放射される赤外線の分布を写真にする技術で、数年前にインフルエンザが流行した時に空港に設置され入国する旅行者の顔を撮影して体温の高い人を見つけ出していた、あれである。温度が高いと黄色く、低いと緑から青に表示される。
4月19日のGreenBiz.comによると、この技術を使って建築物の温度の漏れの状態を地域単位で見る事ができる技術が開発された。米国マサチューセッツ州ケンブリッジのベンチャーEssess社は建築物のサーモグラフィーを高速に移動する自動車の頭に取り付けたマルチスペクトル・サーマル・ハイスピード・カメラで連続撮影してデータを収集する技術を開発した。これにより集められたデータはグーグルアース的な閲覧ツールを使って見る事ができる。
地方公共団体、コミュニティー、デベロッパーなどが地域の省エネ設計をする上で有効なデータを提供する事をビジネスにしようとしている。
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