右肩上がり経済の終焉を理解する時が来ている
政治家はどんな事が有ろうと経済は右肩上がりに発展し続けるようにする事が自分が選ばれた理由であると考えている。その為に新しい産業を興し職場を確保し、そこからの税収が国家の財政を好転させると考えている。
これまで経済発展を続けて来た事が地球の温暖化を加速してきた。つまり、持続可能な発展では無かったことになる。そもそも無限に経済発展が続くと考えること自身、持続可能性を無視した考えであることには気づき始めている。例え資源を5倍に使うと言うファクター5を全ての分野で達成したとしても、増大し続け2050年には90億人になる人類の経済発展をし続ける事は持続可能とは言えない。
昔の人達が持っていて現代人が忘れているものに「つつましさ」が有る。これは英語のサフィシエントにあたると思うが、効率を意味するエフィシエントと共にペアをなして持続可能性社会を作る為のキーワードになると思う。
経済界にも政治にも認められるサフィシエントを上手に表現したものが、1970年代にPaul EhrlichとJohn Holdrenにより提唱されている。 I = P × A × T IPATの式である。Iは環境負荷(Impact) 、Pは人口(Population)、Aは生活レベル(Affluence)で一人当たりのGDPで表し、Tは技術革新(Technology)を表している。 PとAは増大の一歩をたどって来ており環境負荷を増やし続けている。Tのみが技術革新によってIの環境負荷を少なくできる可能性をもつファクターである。
中国は有名な一人っ子政策でPの増大を最小化する事に成功した。中国は過去20年間に著しいAの増大を行った。中国政府は彼らがPを抑制した事でどれだけ環境保護に貢献したかを主張していたが、コペンハーゲン合意以降は少し変化が現れて来ている。インドにとっては参考にするべき政策である。
ファクター5では主にTについて提案をしているが、Aについても無限に増大し続けることはできないと主張している。しかし、Aを少なくする、つまり経済発展にブレーキをかけると言う政治家は居ない。経済を後退させると公約して当選する事はないからである。
Aを一人当たりのGDPで測る事をやめる時が来ている。GDPは必ずしも生活の快適性を表してはいないからである。大渋滞の高速道路で消費された燃料はGDPを押し上げるが、車に閉じ込められた家族は快適では無かったはずである。
生活の快適さ、豊かさとGDPとを切り離して考える時が来ている。
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