(1)エネルギー効率改善の2
昨日書いたエネルギー効率の改善は主にOECD諸国(開発完了国)を対象にしたものであるが、エネルギー効率の改善は発展途上国にこそ有効な手段である。
マッキンゼイ・グローバル研究所によると、燃費の良い自動車を選び、エネルギー効率の良い電化製品を選び、断熱の良い建築物をつくり、高効率の照明を採用にすることで現在予測されているような2020年までの間、年率3.4 〜1.4%で増加するとされているエネルギー消費を半分にカットできるとしている。
発展途上国にとってエネルギー効率の大幅アップは燃料の輸入量を減らし、建築物の消費エネルギーを下げ、新たなエネルギーインフラの増加を抑える事ができるのみならず、低エネルギー国家が作られる事により将来のエネルギー危機へのリスクの低減が可能となる。
発展途上国の省エネは2020年には6000億ドルが可能であると見積もられている。省エネは最も安価な国づくりを可能にする戦略である。過去にOECD諸国が経験した公害問題はエネルギー問題と密接に関わっているので、公害問題のリスク低減にもなる。
例えば石油輸送の為のパイプライン一つを例に取って見ると、設計するあたりエンジニアは将来の需要の増加を見越したうえで設計するのでどうしてもオーバーサイズとなってしまう。直系の大きなパイプを使うので、当然バルブも大きくなり抵抗も増える、圧送するためのポンプもモーターも大きくなりロスも大きくなる。全て大きくなるためにエネルギー損失も大きくなる。将来も需要が増えないので最低のニーズに合わせた設計ができれば、高効率なパイプラインが設計できる。この事はあらゆる分野で起きる事でそれらの相乗効果で更に全体のエネルギー効率は良くなる。
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