環境負荷の小さな作物を選ぶ事で省資源と食糧問題を一気に解決
現代の農業経営者がどの作物を作付けするかを決める基準は市場の需要である。いずれの作物が最も高額で大量に販売でき、コストが最小であるかで決める。作物の種類が決まれば、いかに高品質で大量に生産ができるかが追求される。その為に、大量の土壌改良の為の地下資源から作られた化学肥料を散布し、土木機械をで灌漑用水路を作って大量の水を確保する。
そこにはどうすれば環境に負荷が少なくなるかと言う視点は無いように思われる。市場の要求にこたえる事を目的に品種が選らばれる為に、例えその土地には適さない作物でも大量の水や化学肥料や防虫剤を使ってでも生産が行われている。
環境に負荷をかけない作物選びが行われるとすれば、必要な水も化学肥料も、防虫剤も少なくて済む。
小麦の品種改良により従来は適さないとされていた温暖な地域でも作付けができる。小麦は米に較べて虫による被害が少なく、病害にも強く、必要な水の量も少なく灌漑計画が容易である。
大麦は小麦よりも強く、酸性土壌でさえなければ世界中殆どの地域で作付けができ、小麦が育たないような寒冷地や乾燥地でも収穫できる。
カラス麦は大変適応性が高く、少ない水量で収穫ができる。カラス麦は栄養価が高いのに関わらず、伝統的に家畜の飼料としか扱われていない。その為、生産量は半減している。
ライ麦は寒冷地向きである。凍結や降霜にも強く小麦の1/3の水量で耕作できる。しかし、ライ麦は食糧としてよりも、土地の浸食防止対策、乾燥防止対策、雑草対策として植えられている。ライ麦が生育した時の背が高くなり、収穫機械に合わないとの理由から嫌われ、減少の一途をたどっている。
これらの、穀類を食糧として使うようにすれば、水資源と化学肥料の使用量を30〜40%減少させることが可能で、食糧問題と環境問題の両方を解決できる。
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