原発なしでも電力の安定供給は可能である事を証明
昨日のブログに毎日新聞のドイツで原発停止でも電力輸出と言うニュースを取り上げたが、その後このニュースを他のメディアが取り上げた様子が無いので、再度取り上げて解説をする。
ドイツはもともと原発で23%の電力を賄っていたが、2000年に当時の社民党(SPD)と緑の党の連立政権下で2020年までの原発完全停止を決定した。しかし、2010年に現政権であるキリスト教民主同盟(CSU)と自由民主党(FDP)の連立が電力会社ロビーの意見を取り入れ、原発の平均12年間の運転延長を認めた。しかし、2011年3月11日の福島の事故を受けて、巻き起こった全国規模の数万人単位の原発廃止デモが起き、その後の地方議会選挙で政権党が大敗する事態を受けて、メルケル首相は急きょ方針を転換し2020年までに全廃する事を決定した。ちなみにメルケル首相は科学者出身で理論物理学の博士号を持っている。
ドイツでは1998年に電力の自由化が行われ国内に1000以上も電力会社が出来、需用者は自分の好きな電力会社を選んで自由に契約ができる。言うまでも無く発電と送電は別会社である。
2000年には早々とFIT(電力固定買い取り制度)が法制化され電力会社は家庭等の屋根のソーラーパネルで発電された電力を決めれた高額で買い取らなければならなくなった。この制度の導入により、個人のソーラーパネル発電、小さなコミュニティー単位での風力発電などが増加した。
他方使わない努力では、パッシブハウスなど建築の省エネ化も政府の補助金により推進され、厳冬のドイツで暖房が従来の10%〜20%と言うほんのわずかのエネルギーで出来るようになり、エネルギー需要が大幅に下がった。
その為に今年のような寒波が来てもエネルギーバランスが黒字になると言うエネルギー経営が出来ている。
原発なしでもCO2の排出量を削減する事ができると言う事を証明しているニュースだ。
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