政策立案者はファクター5を読むべき
ファクター5では数々の実例を挙げ、80%の効率アップが可能であるのみならず既に何人かの先駆者たちが実行している事を報告している。
これらを実行する事で殆ど全ての分野で劇的な効率改善と省資源が可能であり、新しい経済社会の発展が有ると説明している。
実は、このメッセージは15年前にフォン・ヴァイツゼッカー教授は前著「ファクター4」で述べていた。ファクター4では50の実例で資源を4倍に使う方法を述べていた。
著作チームのAmory Lovinsは実際にリッター26kmの燃費のハイパーカーを作って走らせて見せた。チームはこれで世界中の自動車メーカーは低燃費車で競争を始めると期待を膨らませた。果たして結果はどうであったか?
アメリカの自動車産業は新しいカテゴリーSUVを作りだした。その代表格のハマーはこれまでの車の倍の燃料を消費したが、サブプライムローンで郊外に建てた建売住宅からの長距離通勤と言うライフスタイルにマッチしてSUVは一世を風靡してブームは世界へと広まった。
また、ファクター4が警鐘を鳴らしたフードマイレージも顧みられる事も無く増え続けた結果、運輸部門の燃料消費もこれまでにないほど増加した。結果として地球環境はこれまでにないほど悪化した。
一体、何が間違ったのか?
殆どの人は「何もまちがっていない」と答えるだろう。この間中国を牽引役に世界経済は成長を続け、それを市場は享受した。
経済が順調に進んでいる限り人々は環境問題には興味を示さない。企業は環境問題より売上と利益の増加に集中するものなのだ。
リーマンショックが起きた時、人々は又、持続可能性について考えるようになったが、経済が発展する時には環境対策が停止すると言う時間のロスを起こさせない仕掛けが必要である。奇跡の惑星地球にはもう時間が無いのだ。
環境問題は市場には任せてはおけない。ここにこそ国家の指導力が必要だし、国家の存在意義が有る。
ファクター5にはその解答が書かれている。政策立案者には是非読んでもらいたい。
ファクター5(英文)はAmazon.com等で購入できる。次はそのURL。
http://www.amazon.co.jp/Factor-Five-Transforming-Improvements-Productivity/dp/1844075915 |