ファクター5が可能な船舶の省エネ
海上輸送は陸上のトラック輸送に較べて25〜50%もエネルギー効率が良い。しかし、世界の海上輸送から排出されるGHG(地球温暖化ガス)は9億6千万トンで5%に匹敵するが、世界の物流量は増える一方で現在値から2020年を推定すると32〜72%の増加が見込まれ、その影響は更に大きくなると予想される。その為、海運業界には船舶の省エネが要請されており、次の様な研究が行われている。
■燃料電池を天然ガスを使って動力源とする研究。現在のディーゼル機関に較べ50%の省エネとなる。米海軍の研究によると、まずディーゼルからガスタービン発電機にすることで30%が、さらにPEM(個体高分子型)燃料電池で発電し、発熱で蒸気タービンを回して発電する複合システムで64%の効率アップが可能としている。
■船底に付着するフジツボ等の貝類や藻による船舶の燃費の悪化は40%に上るとされている。これらの付着を防ぐ船底塗料の開発により3億8千万トンのCO2排出量を減少する事ができる。
■居住区の断熱を良くする事で暖冷房に掛るエネルギーが15%節約できる。
■マイクロバブルによる摩擦の低減で15%の省エネ。オランダのDKグループは船底に細かな気泡を噴き出す事で船体全体の摩擦抵抗を少なくする技術の開発を行っている。現在プロトタイプが作られ2〜3%の造船コストの増加で15%の省エネが可能であるとしている。
■係留中船舶への100%陸上電源の供給で係留中の排出ガスを90%低減。
■インペラー推進(ジェット推進)により10%の省エネ。
■コンピュータ制御の帆走併用で40〜50%の省エネ。
■低速運行で省エネ。船の速度を2倍にすると燃費は8倍悪くなる。
これらを総合的に行う事でファクター5は十分可能である。
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