世論を作る力を与えられているメディアの責任
メディアの持つ力は強大で、権力と言ってもよいほどである。メディアの環境問題への関心はいまだに薄い。それは環境問題を取り上げても視聴率や発行部数が上がることが無い、つまり一般社会が余り興味を持っていないからである。
国連環境計画(UNEP)の公認協力機関の一つに世界報道イニシアティブGRI(Global Reporting Initiative)と言うオランダに本部を置くNGOが有る。このGRIが出すGRIガイドラインと言うものがある。これは事業者の経済面、社会面及び環境面の3つの基本的な取り組みを報告すると言うもので、企業や団体に報告を求め、それを発表する事で事業者の姿勢を社会に知らせる活動をしている。
この度、GRIはメディア産業向けのガイドラインを発表した。これはメディア産業の環境問題への取り組みが遅すぎると言う批判に応じたものである。
メディア産業は環境問題においてユニークな役割を持っている。彼らが事業者としてのGHG(地球温暖化ガス)の排出量の抑制をしたり、紙の使用量の節約をすると言った一般企業や事業者に求められる環境への取り組みとは別に、社会の考え方に影響を与える力(Brainprint)を有していることである。
いくつかのメジャーなメディアは環境問題と言う海の水でつま先を濡らしては見たものの、海に飛び込もうとはしていない。
何社かはGRIレポートに答える準備はしてはいるが、その内容は一般企業としての環境対策と社会的責任についてであり、メディアが果たすべき特有の取り組みについては触れていない。
メディアは環境問題を真正面から取り上げる時を迎えている。
メディア向けGRIガイドラインには次の項目がある。
■編集スタッフの独立性は守られているか。
■会社は表現の自由を推進しているか、制限を設けたりしていないか。
■持続可能性についての設計図を持っているか。
■地球環境が直面している危機的状態を正確に社会に伝え、持続可能性社会の重要性を伝えているか。
GRIは、メディアがこのガイドラインを導入することで、社会からの信頼が増加するというメリットがあるとしている。
日本のメディアがこのガイドラインを導入すると言うニュースは無い。
GRIのホームページ(英文のみ):
https://www.globalreporting.org/Pages/default.aspx |