国家よりも地域ですすむ排出量取引き
地球温暖化対策のツールとしては環境税によるエネルギー価格の高値誘導、再生可能エネルギーの買い取り制度(FIT=Feed In Tariff)、CO2の排出量取引がある。
2011年末にメキシコ・カンクーンで開かれたCOP16は、京都議定書後の枠組みについては2012年の南アでのCOP17への先送りとした。
それにともない、日本は排出量取引の議論を棚上げにすると決めた。民主党のマニフェストに有る「国内排出量取引市場を創設する」も棚上げとなった。アメリカのオバマ政権は2011年11月の中間選挙で大敗を期した為に排出量取引き法案の議会通過の可能性をあきらめた。今やヨーロッパだけが推進しているかに見える。
しかし、地方レベルではいずれの国でも排出量取引きが進められている。アメリカでは23の州で実施か実施の方向で進んでいる。オーストラリアでも州単位で取引が行われている。東京都は埼玉県と共に2011年4月から実施されている。
国レベルでは足並みが進まない排出量取引であるが地方レベルでは着実に広がってきている。地域単位になると住民の意識や産業構造に共通点が見つけやすく、意見がまとまりやすいからである。
国内排出量取引は、政府が自国内の企業に温室効果ガス削減を義務付け、目標より多く削減した企業が余裕分の排出枠を他の企業に売却する仕組み。排出枠を売買する市場が形成され、需給状況や経済情勢によって価格が上下するようになる。EUでは域内の企業に排出枠を設定し、それを超過すると罰金を徴収する制度を導入。各企業は排出削減に努める一方、余った排出枠を取引が活発に行われ、1日で数百万トン分の排出枠が売り買いされている。現在のCO2排出量1トン当りの相場は15ドル付近である。
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