自然界のものづくりを真似るのがバイオミミクリ―
下水の処理にバクテリアを使うのはバイオテクノロジーである。自然界からものの作り方を教えてもらうのが、バイオミミクリーである。なぜ海の中で貝ができるのか?なぜ口のなかで歯ができるのか?自然は大気と水と太陽光だけから全てのものを作って来た。地球上には38億年に亘って開発された数千万種類の製造技術があり、今なお開発は続いている。
人類は過去200年間別の方法でものを作って来た。ものを作る為に膨大なエネルギーを使って来た。太陽光では足りないので地下から石炭や石油やガスを掘り出して燃やしてその熱を利用して来た。人間が製造する場合、熱する、鍛える、処理をする、と言う工程で高熱、高圧、化学薬品を使う。人間が貝や歯を作ろうとすると炭素、ケイ素、カルシウム等を高熱で焼結させてセラミックを作る。
ボーイング787はカーボンファイバーでできている為に20%の燃費が向上したが、このカーボンファイバーを1トン作るのに20トンのCO2が出る、つまり7トンの石油を使って、高温と高圧でつくるのである。クモはこのカーボンファイバーよりも強靭な糸を常温で作る。そして、自然がつくるものは年月が経つとすべて分解されるが、人間の作るものはぶざまな姿のままゴミとなる。自然の設計図にはゴミはない。
4000年前の古代エジプト人はジオポリマーセメントと言う常温で固まるセメントでピラミッドと言う巨大建築を作りその技術は、2000年後にローマでコロッセオなどの建築物に受け継がれた。しかし、200年前に人類はその技術を捨てて、石灰石を1450度と言う高温で焼結させて作るポートランドセメントに変えた。この膨大なエネルギーを消費するセメントで作ったコンクリートの寿命は50年だと言う。50年経ったら壊して新しいコンクリート建築を作ると言う設計図だ。これが現在の経済を支えているとしたらこの経済は間違っている。
リオ+20ではメインテーマのはずであったグリーン経済への移行については余り討議されなかったようだ。開発途上国は貧困を無くすのが先決だと耳を貸さなかったからだ。彼らは豊かになる為にはエネルギーが必要で、彼らにもその権利があると主張した。決議書には、「グリーン経済への移行も方策の一つである」とだけ書かれた。まず先進国がやって見せなければ説得力がない。
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