何故、環境問題は最重要課題にならないのか?
我々は過去の経験から、まず我々自身が豊かになる事、財力が十分になれば環境問題にも回せば良いと思っている。これは、過去に産業先進国の発展途上の時代にあちこちで起きた公害問題を解決してきた経験則から得た考えだ。
どの国も始めは貧乏で美しい、そこで工業化が起きると豊かで汚くなる。そのうち財力に余裕ができ、豊かで美しい国になる。いずれの国の経済政策も環境政策もこのパラダイムから考えられている。
ここで問題になるのは環境問題にはこのパラダイムは適応できないと言うことだ。
15年前に書いたファクター4で50以上の例をあげて資源を4倍に使う方法を述べた。その中でリッター26kmの燃費のハイパーカーを実際に作った。この話をドイツ、スエ―デン、アメリカの自動車メーカーの幹部と話したが、このような大幅なモデルの変更には数千億円のお金が掛るので、もしこの車が売れない時のリスクを考えて株主はゴーサインを出さないであろうと言うのが大方の考えであった。
車の他にパッシブハウスは10倍の省エネができるし、白熱電球をLEDに交換すれば10倍の省エネが可能である。繊維製品も4倍の省資源が可能な素材ができている。鉄鋼も5倍の寿命と資源の節約ができるものがある。この他いろいろな分野を総合する事で4倍〜5倍の省資源、省エネは掛け値なしで実現可能である。
ファクター5は省エネで改善されたエネルギー消費分を環境税としてエネルギー価格に上乗せする事でエネルギー価格が上がる制度を提案している。この制度では同一のサービスを得るのに消費者が負担する金額は変わらないがエネルギー価格は上がり続けることで、企業には更なる省エネへのモチベーションとなり消費者は無駄なエネルギーを使わない道を選ぶ持続可能経済のサイクルが回り始める。どうしてもエネルギ―価格の上昇にはついて行けない産業分野には補助政策を適用して援助する。
エネルギー価格は市場任せにするべきでは無い。
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