日本だけのユニークなエネルギー消費「自動販売機」
夏は炎天下、冬は寒風の中で可能な限り省スペースに作られている為に断熱の施しようも無い清涼飲料水の自動販売機、2006年から減少傾向にあるものの、2010年には518万7千台が設置されていた。1台あたりの消費電力は800Wh〜1kWhである。計算を簡単にするために1kWhとして519万台を掛けると519万kWhとなるこれは、福島原発1号機から6号機までの合計に匹敵する。
この自動販売機により販売される清涼飲料水売上は2006年には年間6兆9千億円に達した。この売り上げは、コンビニ、デパートに次ぐ売上高である。自販機1台が毎日35本の飲料水を販売した事になり、総飲料水販売の40%を占める。従業員一人当たりの売上を年間2千万円と仮定して逆算すると、自販機販売は35万人の職場を提供している事になる。
自販機そのものを見ると、年間約45万台が製造され、古いものと交換されている。2006年以来、設置台数は増加していないので製造台数も減少傾向にある。1台当り単価は約40万円である、電子マネー対応などの高付加価値化が進んでいるが、販売価格に殆ど変化は無い。今後、インバーター、熱交換器などの省エネ化が図られる事で若干の価格アップを製造業者は期待しているようだ。こちらの市場規模は1800億円で約1万人の雇用を生んでいると推定される。
清涼飲料水の自動販売機を屋外設置しているのは、日本以外には無い。日本人以外はその恩恵に浴していないのであるが、その為に生活に支障をきたしている様子は無い。ただただ日本人はエネルギーの無駄遣いをする方法を発明したのだ。幸い、海外のいずれの国もそれを真似る国が出て来なかったのは幸いである。つまり、無ければ無いで済ませる事のできる分野である。
原発6基分のエネルギーの無駄遣い、あるいは3,600万トンのCO2の排出を止めると、36万人の雇用が減るかも知れないが、ここは真剣に考えれば自ずとその答えは出てくるはずである。
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