バイオミミクリーの発想で開発された自ら温度調節する壁
GreenBiz.com 2012/8/2 Jennifer Khoの記事より
スマート建材と言うべき材料が開発された。この建材は自らの温度を一定に保つ機能を備えている。この建材を室内の壁や天井に貼るだけで室内温度が一定に保たれる。そのうえ、冷媒を供給するパイプも電気を送る電線も必要としない。つまり外からのエネルギーを必要としない。アメリカ、ハーバード大学、応用化学工学部が開発したこの材料はバイオミミクリ―に基づいている。
ぼくたち人間は、体温を36.5度に保つ機能を有している。ここのところのように続く猛暑では道路の表面温度は50度を超え、冬の厳冬では氷点下になるところも少なくない。それでも体温は36.5度を保つ。単細胞生物のアメーバでも自らの体液の圧力を自動調整する機能を持っている。これを模して新材料は生まれた。この材料は周囲の温度が上がると自らが冷え、下がると暖かくなる機能を持ったジェル状の物質である。このジェルを壁や天井に張りつめる事で室内が一定の温度に保たれる。この材料は「ネイチャー」7月号に発表された。
全くエネルギーを必要としないので、現在地球温暖化ガス(GHG)排出の40%の責任がある建築物が使うエネルギーの70%は冷暖房であるが、それがゼロとなる。
今はまだ実験室レベルで、製品化にはまだ3〜4年が掛るとされているが、このような材料が次々と出てくることが持続可能性社会の幕開けを感じさせる。
このジェルは上下2層の構造をしている。下のジェルは髪の毛状のナノ構造体でつくられており、この構造体は温度変化によりうねり運動を起こすように形状記憶機能がある。周囲温度が下がると下の髪の毛状構造体はうねりながら上のジェル層に移動して化学反応を起こし発熱する。周囲温度が上がると髪の毛状構造体は下の層に戻るので、上のジェルは逆の化学反応が起きて周囲の温度を吸収する(冷たくなる)。
製造もいたって簡単で量産も可能であるとしているが、まだまだ実用するには解決しなけらばならない問題がいくつも有るが3〜4年で解決策が開発されるとしている。
記事の原文:
http://www.greenbiz.com/blog/2012/08/02/self-heating-smart-building-materials
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