現在のバイオ燃料は持続可能な開発を助けない
代替燃料や再生可能エネルギーの話を農業分野の人と話すと必ず話題は「バイオ燃料」になる。アメリカでは原油価格の高騰にともない、まるで集団酩酊状態でバイオ燃料が誇大に語られている。
マレーシア、インドネシアや西アフリカの国々の広大な面積の熱帯雨林がパームヤシに植えかえられ、ブラジルの熱帯雨林は破壊されてサトウキビ畑となり、いまやエネルギー経済の一翼を担うまでになってきた。
自然保護主義者や環境学者達も一時はバイオ燃料に希望を託した時期があった。米国と欧州では自動車用のバイオ燃料が環境を救うとバイオ燃料市場形成の推進役となった。これは我々の犯した大きな間違いであった。
国連環境計画(UNEP)に出された報告によると、バイオ燃料の長所のみが誇大に評価され、短所は知らされていないとしている。特に顕著なマイナス面は自然熱帯雨林がパームヤシの林に置き換えられることで、熱帯雨林を取り巻く大気の成分、メタン、笑気ガス、CO2の大量移動が起き分布が変わった為に熱帯雨林の破壊が進むと言う事である。またブラジルの熱帯雨林がサトウキビ畑になることは生物多様性の観点から間違ったことである。また、バイオ燃料用の作物と食用作物の耕地面積の取り合いの為に食用トウモロコシの耕地面積が減り、最貧国の人々の中心的な食糧であるトウモロコシ価格が高騰すると言う人道的な問題もある。現在、バイオ燃料は自然保護運動家の攻撃の的となっている。
農業や林業から得るバイオ燃料は第二世代に移行することが望ましい。第二世代バイオ燃料とは、セルロースを基本とした燃料で、エタノール、バイオディーゼル、ブタン、メタノール、MTHFで、原料として考えられているのは、間伐材、成長の早いポプラやユーカリ、あるいは葦などである。製造にはこれら原料をまずバクテリアによりセルロース化して糖化工程に移る為に時間がかかり、収量もパームヤシやサトウキビに較べて少なく、広い耕地面積が必要となる。現在、セルロース化を促進する技術の開発が進められており、第二世代バイオ燃料が市場に登場する日も近い。
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