貨物輸送の新たな枠組みが必要
世界の貨物輸送はここ数十年で急激に増加している。世界で年率3.6〜5.9%で増加の一途をたどっている。今後の増加の推測は年率4%とされている。
WBCSD(持続可能な開発のための経済人会議、World Business Council for Sustainability)はこれを年率で2.3%以下に抑えるべきであると提唱しており、持続可能社会を模索する国々は貨物輸送の新たな枠組みが必要であるとしている。
トラック輸送は短距離輸送に限り、長距離輸送ターミナルから最終顧客までの配送のみとするべきで、長距離輸送は鉄道か船舶により輸送されるべきである。このシステムが実現することで輸送にかかるエネルギーを85%省エネする事が可能となる。
次の表は1トンの貨物を1キロメートル輸送するのに必要なエネルギー量をMJ(メガジュール)で表したもので、右端の列は排出されるGHG(地球温暖化ガス)をCO2換算のグラムで表している。
国により産業構造が異なるために運送の重要度が異なる。アメリカとオーストラリアでは運送の重要性は高く、日本や欧州では低い。ある単位GDPに含まれる輸送コストを比較すると国ごとの違いが分かる。
次のグラフはGDPに含まれる輸送コストをいくつかの代表的な国を取り上げ、その1973と2003年で比較したものである。30年間の間に船舶、鉄道、トラックの輸送の量的変化がわかる。前述したWBCSDの提言に反しアメリカとオーストラリアでは船舶輸送と鉄道が減少しトラック輸送が増加している。
残念ながら今のところいずれの国も貨物輸送の形態に手を付ける様子は伺えない。
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