特に西欧社会にとっては新しい価値基準「自然」
バイオミミクリ―と言う言葉はアメリカのサイエンス・ライター、ジャニン・ベニュスが提唱する「自然から学ぶデザイン」の事である。
最もその有名なものは日本の新幹線技術に取り入れられている例である。時速300kmで走行する時に発生する騒音やトンネル突入時に発生する衝撃波の問題をフクロウとカワセミから学んだと言うものである。
新幹線は市街地に作られた専用軌道上を高速で通過するためにその発生騒音は75dB以下であると決められている。これは家庭用掃除機が発する騒音と同じである。新幹線走行での最も耳障りな音はパンダグラフ(天井に付いている電気を集める為の弓状の装置)の風きり音である事が分かった。JRの研究者はフクロウが地上の飛翔動物の中で最も静かである事に着目してフクロウの羽を真似てパンダグラフの風きり音を小さくした。又、カワセミが空気中から水中の獲物を狙う為にダイブをする時に全く水しぶきが上がらない事を真似て新幹線の先頭車両のデザインを行いトンネル突入時の衝撃波の発生を防ぐことに成功した。
バイオミミクリ―の3つの原則は次のようである。
1.自然をお手本とする。
バイオミミクリ―は自然のお手本を研究し真似るか、問題解決の手法として取り入れる、例えば太陽光パネルを幾何学的に並べるだけでなく、木の葉をまねる事を研究すると言うような、新しい科学分野である。
2.自然を尺度として考える。
バイオミミクリ―では新技術の評価を、自然に現存するものは38億年間にわたる改良の結果で、正しいものであるとして、機能性、最適性、耐久性の評価を行う。
3.バイオミミクリ―は新しい自然への知覚と尊敬である。それは我々が自然から何かを得ようとするのではなく、自然に習おうとする新しい時代の幕開けである。
ジャニン・ベニュスのプレゼンテーションが今話題のTEDで見ることができるので、次のURLを紹介する。プレゼンは英語であるが、このサイトに全文の和訳が付いている。
http://www.visualecture.com/wordpress/?p=1430
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