伸び続ける航空需要
グロバリゼーションの今日、航空機による移動は世界平均年率5%で増加し続けている。しかし、中国のように一部の地域では12%も伸びている。航空機が消費するエネルギーは運輸部門の11.6%でありGHG(地球温暖化ガス)排出量の2%にあたる。運輸部門のエネルギー消費は2050年には現在の10倍になると予測されており航空輸送における省エネは極めて大きな意味を持っている。
運営コストの20%を占める燃料代を少しでも少なくすることは航空会社の利益に直接影響する最重要課題である。
航空会社は会社の所在地と運行地域が必ずしも一致しないので、GHG排出量をどの地域分とするか簡単には算出できないと言う問題もある。例えばEU域内には約80の大規模な航空会社が運行しているがその内35社は本社所在地をEU域外に持っている。
航空会社は最大限の省エネを既に実施済みとしているが、IPCCの2007年の報告によると次の様な省エネが更に可能であるとしている。
■最近開発された航空機の燃費は40年前の航空機に較べ70%燃費が向上している。1997年から2015年までに20%、2050年までに40〜50%の燃費向上が見込まれている。
■三角形の機体の全翼型の旅客機は50%以上の燃費向上が予測されており、機体の構造上現在の航空機より多くの座席を設備できる為に旅客1人当りの燃費は更に向上する。
■機体の軽量化は構造体の材質を現在の軽金属から新素材に代える事で達成できる。ボーイング787型機は主翼を全て炭素繊維素材で作り20%の軽量化を達成している。
■総2階建てにして座席数を倍増させたエアバスA380では1人の乗客が100km移動するのに必要な燃料の量が3リッター以下となりハイブリッドカー並みの燃費となった。
■超効率ジェットエンジンは全翼型旅客機に搭載されるが、GE製は13%、P&H製は13%燃費が向上するとしている。
■ITやGPSを使って航空機の航行ルートの最適化、CDA連続降下着陸(9月11日参照)、地上でのタクシーイング距離の短縮など、運行面から5〜10%の省エネが可能である。
これら全ての改善を実施する事で40〜50%の省エネが可能となる。
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