下がり続けた原材料価格が地球温暖化を促進
驚く事にエネルギー資源を含む原材料の価格は過去200年間下がり続けている。(図)
価格は市場経済における最も重要な要素である事は承知だが、価格の低下が人々の省エネ・省資源に対する意識を弱めて来た事は確かである。
図を見ると、過去の大戦の度に価格が高騰していた事が分かる。1973〜1982年と2000〜2008年にも上昇傾向が見られている。このグラフの最後は2004年で終わっているが最後の跳ね上がった尻尾に続いて2008年まで上昇トレンドが続いている。この価格上昇が見られる頃には資源枯渇の信号が発せられていた事が分かるが、全体的には下落のトレンドを見せ、あたかも資源は無限に有るかのようなメッセージを出しているかのように見える。2008年のリーマンショックは過去にないほどの市場価格の下落を招いた。
これに対抗する策について議論をする前に、何故原材料の価格は下落するのかを政治の構造から述べてみたい。産業にとって原材料価格が低い事は好ましいことである。競争には低価格が絶対条件となる。政治家にとっては低価格は消費者にも企業家にも喜ばれる好材料である。
この様な政治判断の典型的なものは過去のソ連に見られた。自然環境から得られるものは空気や水のように全て、もともと人民のものであるので価格など付けようが無いとした。この考え方からは省エネや省資源と言う考えは生まれない。その結果は壮大な無駄を生む巨大産業であった。巨大な資源消費の化け物の様な産業は国際競争に負けソ連経済は行き詰まった。
もちろん、長年にわたる資源価格の下落は政治によるものだけではない。地下資源の採掘技術、地下資源発掘技術、石油精製技術の発展など技術革新も大いに寄与している。
学者たちは地下資源の枯渇を問題にはしていたが、化石燃料を汲み上げる事による地球温暖化に警鐘を鳴らすのは躊躇し続けていた。
その結果ぼくたちの「奇跡の惑星」には一刻の余裕もなくなってしまった。
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