無駄なエネルギー消費が目立つ農業、きめ細かな管理が必要。
現代農業の環境負荷は18%のGHG(地球温暖化ガス)の排出と70%の水の消費である。現状の農業のエネルギー消費がこのまま推移すると、2030年には55億トンのGHGを排出する事になる。このGHG排出要因の80%は農業用水の確保に使われるエネルギーである。ファクター5では点滴灌漑と言う方法で農業を行う事でエネルギーは80%、農業用水は90%、化学肥料は95%が節約できると推奨している。(2011/9/19-9/20のブログ参照)。
しかし、それ以外にも農業が取り組める省エネ課題は数々あるようだ。
■灌漑システムの適正化
カンサス大学の調査によると、灌漑システムを適正な規模に調整して、設備の保全を適正に行うことだけで40%の省エネが可能であるとしている。
■加温システム
農業において加温はエネルギー消費の大きな部分を占めている。こまめなON/OFFや温室の保全など初歩的な対策のみで30%の消費の低減が可能である。温室の排気を一旦熱交換器に取り込み外気を導入する際にこの熱交換器により予熱して外気を取り込む熱リサイクルシステムを導入すると80%の省エネが可能である。
■収穫された穀物は加熱乾燥される場合が多い。家畜排せつ物等から取り出したバイオ燃料を熱源に使う事で外部からのエネルギー供給を受ける必要がなくなる。
■照明は農家のエネルギー消費の20%を占めている。光源をタングステンランプから蛍光灯やLEDに交換する事で80%の消費の低減ができる。
■建築物。築後数百年経た農家であっても外断熱等のリフォームをする事で数10%の省エネは容易に可能である。建て替えや新築の場合はパッシブハウス基準とする事で、80〜90%の省エネが達成できる。
■冷蔵。酪農家においては冷蔵に掛るエネルギーが大きい。冷凍設備が20年以上経過している場合はそれを最新の設備に交換するだけで50%以上も省エネが可能である。
■計画的耕作。施肥の時期、適正量、作付け体系、家畜糞尿の貯蔵と農地への投入の適正化などを行う事で化学肥料の使用量の最大85%の大幅削減が可能である。
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