工業化された農業は環境破壊の最たる存在
農業がこの小さな地球と言う惑星上に70億人もの人間の生存を可能にした。
何千年にもわたって太陽光のエネルギーだけを使って食糧に変え、文明を支えて来た伝統的な小規模な農業にあっては、作物以外にも小動物や他の植物にとっても小さな農地は祝福すべき存在であった。
ところが人口が爆発的に増加し、更なる発展と快適性を追求した人類は、産業革命により習い覚えた地下資源を利用する方法で農業を工業化して行った。そして農業は現在、地球温暖化ガス(GHG)の18%を排出し、地球表面の淡水の70%を消費する環境破壊の大きな要因となってしまった。
その一方で、農業は地球温暖化による気候変動の影響を最も受けやすい分野でもある。地球温暖化によりますます狂暴になってきた気候は、多雨性の地域では洪水となり、乾燥地域では旱魃の頻度が増している。そしてこれらの地域は最貧国でもあり、弱い立場の人達が最もひどい仕打ちを気候変動から受けている。
大規模農業が無尽蔵に使う淡水、農薬、化学肥料、これらを使うために使われるエネルギーは莫大である。ファクター5では農業用水の使用を95%少なくする技術点滴灌漑農業等を紹介している。点滴灌漑農業では肥料は最大99%節約できるので、化学肥料メーカーやそれを販売する商社や農協は、おいそれとは賛成しない。電力会社が原発をやめないのと同じ図式と言える。グリーン経済への革命的移行が難しい理由がここにある。
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