エアコンの無駄を無くすだけで世界中の原発はいらなくなる
冷暖房と換気、HVAC(Heating, Ventilation and Air-Conditioning)は総エネルギー消費の大きな割合を占めており、アメリカでは30%、欧州では56%、中国では61%である。
アメリカ、カリフォルニア州エネルギー委員会の調査によると、商業ビルにおいて、人が居ないのに冷暖房が行われる事によるエネルギーの無駄な消費は最大67%にも達することが分かっている。家庭ではこまめに入り切りされる冷暖房も会社では無頓着に使われていると言うことになる。
HVACの省エネ対策には様々な方法がある。例えば窓をガス封入のペアガラスと断熱構造のサッシの取りかえる事が挙げられるが、これに代わる方法として窓ガラスに赤外線より長い波長の光を最大99%までカットし、且つ可視光線は70%透過するものや、熱線は70%カットして可視光線は99%透過するものが市販されており、これらを貼る方法が有る。又、外壁の色も重要で、屋根の色を白くペイントするだけで室内温度を10℃は下げることができる。
図はカリフォルニア州の年間平均気温が異なる、オークランド、パームスプリング、サクラメントの3個所で採られた省エネ対策が、各項目ごとにどれくらい効果を表したかを示すグラフである。左から、屋根の断熱(20〜25%)、LED等の高効率照明への転換(2〜3%)、壁の外断熱と窓の対策を、西、南、東、北の方角別にその効果をしめし、屋上や屋根の色を白にする(3〜4%)、外気と接する壁面の面積を可能な限り少なくする設計を採用する(5%)、エアコン機器を最新の省エネ型に交換する、と並んでいる。
これらを全部行うと50%近い省エネとなりHVACのエネルギー消費は総エネルギー消費の30〜60%(国・地域により変わる)の約半分が省エネできる事になり、そのインパクトは大きい。これを行うのが「建築物のグリーン化」であり、グリーン化ビジネスが成立し、新たな雇用も生まれている。その上、これだけでも世界の原子力発電所を止める事が可能であり、シェールガスやメタンハイドレート等の新たな化石燃料も必要無くなる。
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