地球環境、持続可能な開発などを前面に出した出版社は見つけられなかった。
7月8日まで東京ビッグサイトで開かられている東京国際ブックフェアに行ってきた。25ヶ国800社が出展していると言う大きな展示会で、昨日は金曜日のせいもあって大盛況で、通路では肩と肩が触れ合う事もしばしばであった。
出展ブースを見ての印象は、大手の出版社のブース面積が以前より小さくなったことと、1コマブースの数が増えたことで出版業界の景気の悪さが伝わって来た。目につく展示は電子出版であった。
ブースを駆け足で一回りして地球環境、持続可能な開発などを探したが、これらをテーマに掲げた出版社は皆無であった。展示されている本の中にこれらのキーワードを含む本がディスプレイされていたのは数社の出版社と大学出版会のブース位であった。何社かの説明員とも会話をしたが、環境、持続可能性のテーマでは一般読者は買わない、学術、専門書の限られた分野であるとの認識しか無いようであった。
日本人は311以来、環境やエネルギー問題の重要さを認識しなおしたのでは無かったのか、いまだに興味の対象外と言うことなのだろうか。また、「ファクター5」についても話して見たが、環境問題は日本は最先端を進んでいる国であるので、海外から環境関係の本をわざわざ訳しても日本の専門家は買いませんよと言う出版社の社員もいた。
フォン・ヴァイツゼッカー教授は、2010年にベルリンで開かれた「ファクター5」のドイツでの出版を記念しての講演の中で、人類が自然環境から資源を使うだけ使って、環境の為にお返しする事をしない、環境に感謝の念を持たなくなったのは、人類の有史以前に遡ると話している。人類が狩猟と採集の時代から農耕と畜産を始めた時から人類は、自然を一方的に搾取の対象としたのだとしている。しかし、これは西欧文明に限ってのことであって、東洋や日本では自然の中に神々を見て、怖れ、尊敬していた。それが西欧文明によって毒されて現在があるのだと思う。そうすると僅か200年程の短い間の変化であるので、DNAにもそれほど多くの書き込みがされている訳ではないだろうから、西欧人に較べれば簡単に元に戻るのだろうか。
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