電力会社は導入に消極的
スマートグリッドと言う言葉を良く聞くようになってきた。スマートは賢いでグリッドは配電網で「賢い配電網」である。
発電所―送電線―変電所―配電網―需要家と言うのが電気が配電される順番であるが、このいずれにもコンピュータ制御装置を付けて自律分散型の制御を行い最適な電力供給を行う。それのみに留まらず双方向通信で情報交換を行う事で需要の変化の把握と予測を行い必要な場合は緊急度の低い電気機器への送電を停止する等して調整も行う。また、再生可能エネルギーで発電された個人や企業の余剰電力を送電網に送ることもできる。さらに家庭用蓄電器やプラグインハイブリッド車や電気自動車を電気の貯蔵システムとして使うことも行う。
もともと、電気インフラが老朽化して停電が多いアメリカで考えられたスマートグリッドであるが、持続可能社会にとって欠かせない電力供給システムとなった。
従来の電力網は年間の最大ピーク時に合わせて設計されている為に、全ての設備が過剰な容量を持っている。東電は猛暑時6450万kWをピークとしている。これは2001年にこの実績があったとしていますが、それ以外の年で6000kWを上回った実績はない。この数字は電力料金を値下げして大口需要家に猛烈営業を掛けた結果である。そして全ての設備はこのピーク時電力を賄えるように設計されている。猛暑の日の午後2時位にピークとなるがその時の為に大幅な過剰投資が行われそのコストは全て電力料金として需要家が払っている。因みに昨年2011年の最大は8月18日に4936万kWを記録している。
スマートグリッドを導入して電力供給の適正化を行うなら現在の発電、送電、変電、配電の全てが過剰投資であった事が明確になる。スマートグリッドの導入は電力会社が電力を売れば売るほど儲かると言う従来のビジネスモデルを根幹から変える事から、全国いずれの電力会社もスマートグリッドの導入には消極的であったが、今後それが変わって来る事を期待する。
スマートメーターはイタリアが先進で2700万世帯、カリフォルニア州が900万世帯、オーストラリア・ビクトリア州が260万世帯に設置が終わっており、オランダは2013年中に全世帯の700万世帯、中国は2016年までに2億8千万世帯に設置される。東電は2013年から10年間で2700万全世帯に設置する予定と発表している。
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