長期的環境税によりエネルギー価格の上昇を誘導
省エネにより生じるエネルギー消費量の減少がエネルギー価格を押し下げるとそれによる消費の増加が起きる事を防ぐために、環境税によりエネルギー価格を中長期にわたり継続的に上昇させる政策が必要であると、ファクター5の著者フォン・ヴァイツゼッカーは繰り返し述べている。
この政策は最低でも50年間程度の間エネルギー価格が上昇し続けるように環境税を調整しながら誘導する必要がある。価格が市場経済の中で無理なく上昇を続ける事ができるように変動の許容範囲を定めた帯(図参照)を設定して、帯の上下限値の間で有れば価格は自由に変動できるようにしておく。価格が限度を超えそうになると政府は市場介入をして修正を行う。
途中、この政策を中断させるような強力な力や帯の幅を広げるような圧力がかかる場合もあろうし、石油枯渇が現実的になったり中東情勢や異常気象が続いたりすると価格が上がる事になるであろう。過去に労働賃金と労働生産性の関係においても生産性が上がっても賃金が上がらなかったりその逆で有った時期も歴史的に起きている。
経済学者はこの考え方への評価は外部コストの内部コスト化であるとする。しかし、この場合厳密な計算をして価格への反映をする必要はない。地球温暖化や生物多様性の問題は計算で値が求められるものではないからだ。
エネルギーと地下資源の消費は人件費よりも高くつくと言うことが証明されるだけで良い。課税の対象が人件費からエネルギー費に変わることで財務会計の考え方も変化してくるであろうことを望む。そうすればより省エネを指向する企業や国家の財政は良い方向へ進むことになる。この長期的環境税は技術革新、インフラ、消費者の考え方を変え投資家や市場が持続可能社会へと志向するようにしむけるものである。
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