問題解決には省エネしかないと訴えた事を報道
4月2日付けの東京新聞電子版は2月末に名古屋大学で開かれたシンポジウム「地球にやさしい資源・エネルギー利用へ〜東日本大震災から一年」でのフォン・ヴァイツゼッカー教授の講演を取り上げた。当日司会をした中日新聞論説委員飯尾歩氏がまとめた記事から転載する。
気候変動、資源、エネルギー利用、地球と人間社会の持続可能性を考えたとき、まずエコロジカル・フットプリントを引き下げなければなりません。七十億人の地球人口全てが米国並みに資源を消費しようとすれば、あと五つ地球が必要です。ライフスタイルによるところも大きいと思われます。問題を解決するには資源効率を改善しなければなりません。
もし資源効率を五倍に高められれば、地球は一個で足りるのです。フットプリントを下げながら、豊かさを維持することが求められているわけです。経済発展をたどりつつ、地球温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)の排出量は減らさなければなりません。
日本は深刻な原発事故を体験しています。放射能は広範囲にわたり、悲劇を生んでいます。CO2削減を原発に頼ることはできません。自然エネルギーはいいですが、これにも頼りすぎてはいけません。ダムはもとより、風力や太陽光発電所を造りすぎると、景観を傷つけます。バイオ燃料ブームで、トウモロコシ畑や油を取るヤシ畑が延々と広がるのは“生態的悪夢”といえるでしょう。
CO2を排出せずにエネルギーを獲得することよりも、エネルギーをなるべく使わず豊かになることに軸足を移さなければなりません。
ドイツでは、イチゴヨーグルト一カップを作るのに必要な材料の移動距離を積算すると、八千キロにも上ります。私たちは、貴重な資源やエネルギーの多くを無駄にしています。電力も同様です。省エネへ、挑戦の余地は十分です。
<エコロジカル・フットプリント> 人間がいかに自然資源に依存しているかを表す指標。一人を養うのに、海などを含めた地球上の面積がどれだけ必要か、で示す。
元の記事は次のURLで読める
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2012040202000085.html
|