環境意識の低さを助長する農業補助金
農業が地球温暖化ガス(GHG)総排出量の18%を占めている。農業と言うと環境に最も優しい分野では無いかと考えがちであるが、この高いCO2排出量の殆どは農業用水を確保、輸送、貯水、処理、分配するときのエネルギー源が出すGHGによるものである。
農業の効率化や農地利用の再生可能エネルギー発電は他の産業に較べて進んでいない。世界各国で行われている自国の農業の保護政策の為の補助金が農業の資源効率化や再生可能エネルギーに向けられることはなく、これまで通り漫然と森林破壊につながる農地の開発、環境を破壊するほどの肥料や農薬の散布に使われているだけである。
さらに、農業に対する水道料金や電気料金も補助金により低く設定されている国が多い。安い電気料金と水道料金は、節電や節水への意欲をそぎ、無駄な消費が促進されている。
食糧の自給を重んじて支出される農業補助金が、農業分野の省エネ意識の低さを招いている。
図は、OECD国のうち特に極端な傾向を示す国の、産業別の水道料金を示している。環境保護を促進するような補助金制度を農業政策立案者は考えるべきである。
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