エネルギー価格に神経質にならなければならない理由
何故ファクター5ではエネルギー価格を上昇させる事にこだわるのか。新しい省エネ技術が世の中に認められれば、その技術は自動的に市場に認められそれなりの価値を生むのではないかと言う考えがある。
携帯電話は世の中に出て来て全く新たなコストを消費者に押しつけたが消費者はそれをすんなり受け入れている。iPodは音楽の販売形態をCD購入から対価を支払ってダウンロードすると言う新たなビジネスモデルを作り、これも消費者に受け入れられた。このどちらも全くそれまでには無かったものなので消費者は受け入れた。
ソーラーパネルとバッテリーとLEDランプを組み合わせたソーラーライトは今後、後発発展国にはこれまで無かったものだから受け入れられる事であろう。
しかし、ファクター5で取り上げている省エネは照明、暖冷房、移動と言うサービスを受けるのに必要なエネルギーの量が画期的に少なくなると言うものであって、決して新しいサービスを提供するものではない為に新たな価値として認められにくい。
照明、暖冷房、移動と言う同一サービスを受けるのであるから以前と同じ対価を払えば良いだけの事である。同一サービスに対する同一価格を消費者は負担する。その為の環境税であるが、それであっても強い抵抗が予想される。省エネで生まれた価値は携帯電話やiPodのような目に見える新しいサービスでは無いからである。
多くの消費者にとって電気は電気でしかなく、それが石炭から作られようが太陽光から作られようが、同じ価値しか持たないからである。
既に世界でもトップクラスのエネルギー価格になっている日本のことをフォン・ヴァイツゼッカー教授は日本はすでに世界の先端を進んでいると真面目に称賛している。
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