照明に自然光を取り入れると労働環境が良くなる。
1998年に出されたファクター4の共著者エイモリ・ロビンス、ハンター・ロビンスは後にポール・ホ―ケンと共著で「自然資本の経済」(2001年日本経済新聞社刊)を出版したが、その中から、自然光照明についての部分を紹介する。
カリフォルニア州サニーベイルにあるロッキード社のビル157では、照明電力の3/4を節減する為に高度な昼光照明が取り入れられ、従業員にとって魅力のある、働きやすい空間となっている。オーナーはこの設備投資を4年以内に回収できると見積もっていたが、欠勤率が15%低下し、労働生産性が15%向上したおかげで、昼光照明の費用を1年目で償却することができた。さらに、諸経費の低下は熾烈な契約獲得競争で有利に働いた、予想を上回る契約からロッキード社が得た利益はビルの建設費を超えるものであった。
ネバダ州リノの中央郵便局では、それまで思わしくなかった郵便物仕分け作業のスピードと正確さが、有る時に高まり、アメリカ西部地区で最高の成績を収めるようになった。局長はいろいろと原因を考えた末、省エネルギーの為に導入した照明装置のおかげで、局員が文字を読みやすくなったからだと言う事に気づいた。同時に改装した天井も、それまでの従業員の気を散らし、疲労の原因となっていた雑音を吸収していた。
ボーイング社は設計部門と製造部門の照明装置をかえたことによって、照明電力を九〇%節減できただけでなく(二年間に投資を回収)、航空機の組立過程で欠陥を発見しやすくなるという効果もあった。そのおかげで仕事をやりなおさなければならない事態に陥るケースは回避され、予定どおり納品できるようになり、顧客満足度が改善されるという貴重な成果へと結びついた。
以上は、「自然資本の経済」から抜粋した、照明を省エネ設計に変える事で、得られるのは経済的効果だけではなく、欠勤率の低下や仕事の能率アップ、品質向上になった例である。グリーン改築は大きな省エネが目的であるが、得られる副産物も大きい。日本のビルが全部グリーン化すれば、原発の再稼働の必要はまったくない。
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