エネルギーの都をグリーンに――ヒューストン市の取り組み
アニス・パーカー(Annise Parker)ヒューストン市長
UNEP広報誌OurPlanet2014年4月号より
計測できないものは管理できない。これは古い格言ですが、今も真理を語っています。重要な成功要因を測定しなければ、計画やプログラムが改善されているのか悪化しているのかはわかりません。
ヒューストン市は温 室 効 果 ガス(GHG)排出量削減の進捗状況を評価するうえで、エネルギー利用、輸送、廃棄物という3つの分野を非常に重視しています。
2007年のコミュニティレベルのGHG 排出インベントリを見ると、58%は建築・産業エネルギー部門、32%は輸送部門、10%は廃棄物部門から排出されていることがわかります。私たちはこの3分野の排出量削減を重点的に行い、大きな成功を収めています。ヒューストン市の市営業務による排出量は2007年のインベントリから26%減少しました。私たちはこれを大変誇りに思っています。
私は南アフリカのヨハネスブルクで開催された「C40(世界大都市気候先導グループ)市長サミット」で、ヒューストン市は2014年と2015年にGHG排出量を5%削減し、2016年までに全体で10%削減することを公約しました。そのためには、引き続き市の建物についてエネルギー効率化とLEED認証の取得を行っていきます。ちょうど今年、さらに1,000万ドルの予算を投じる市立図書館のプロジェクトを発表したところです。そして、これらの建物のために再生可能エネルギーの購入を増やしていく予定です。また、LED街路灯やスマートエネルギーなどの新技術を活用して、エネルギーの使用を削減していきます。
さらに、ハイブリッド、電気、CNGなどを動力源とする車の使用も増やしていく予定です。ところで、私たちはどうやって26%もの削減を達成できたのでしょうか?
それは建築物のエネルギー消費の削減です。
ヒューストン市は2008年から600万平方フィート(=約55.8万平方メートル)の建物を改修し、6,000万ドルを投じてエネルギー効率化を行ってきました。その結果、現在は年間2,200万キロワット時以上の電力を節約しており、単純計算すると、10年以内に元金を回収できます。ヒューストン市は毎年623,000メガワット時のグリーン電力を購入して年間の電力需要量の半分をまかなっており、都市が購入する再生可能エネルギーの量としては国内最大を誇ります。
さらに、信号のある2,450カ所の交差点のすべての白熱灯をLEDに交換したため、360万ドル以上の電気代を節約でき、エネルギー使用量が年間9,821,496キロワット時も削減されました。私たちは300を超える市営施設を基準に照らして評価し、それらの施設のエネルギー使用強度を監視しています。また、23件の建物についてLEED認証取得プロジェクトを完了し、2014年にはさらに4件のプロジェクトを実施する予定です。<以下略>
原文URL: http://www.ourplanet.jp/PDF_files/OurPlanet_Vol35.pdf
このように、CO2削減の基本は省エネである。省エネと言っても現在使っているエアコンの使用量を我慢して減らすとか、照明を暗くして電気を節約するのではない。建物を低エネルギー化改築する事で、快適さはより以上になり消費エネルギーも少なくなる。低エネルギー化改築に掛かる費用は、ほぼ新築の10%程度のものである。ヒューストン市の例に有るように約10年で改築費用のもとが取れる。先日、ブログ管理人の住む東京都町田市の石阪市長にお会いした時に聞いた話であるが、現在町田市の小学校の低エネルギー化改築を進めているとの事で、その結果電気代が30%以上安くなったと話していた。
日本は省エネ先進国ですでに乾いた雑巾状態であるので、もう省エネの絞り代が無いと言う人がいるが、それは間違った認識である。建築部門に於けるエネルギー浪費は大変に大きく、低エネルギー化改築は進んでいない。まず建築の低エネルギー化改築を行えば、すべての原発は廃炉にできる。
ヒューストンと言うとテキサスの石油資本の御膝元で最もグリーン化に疎いと思われがちであるが、さにあらず。グリーン・ヒューストンのホームページに詳しい(英文)URL: http://www.greenhoustontx.gov/index.html |