クリスティアナ・フィゲレス(Christiana Figueres)
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長
<国連環境計画(UNEP)の日本での広報活動は、宮内淳さんが主宰する公益財団法人地球友の会 http://www.aoe.or.jp/ が行っている。その広報誌の一つOur Planet(私たちの地球)の最新号からの記事である。>
2014年は気候変動の目標を達成する年であり、そうすることが求められています。大気中の温室効果ガス濃度は過去80万年で最も高く、この10年間に毎年平均およそ2.7%も上昇し続けています。70億人という世界の人口は90億人を超える勢いで増加しつつあり、これらの人々を新たな転換の軌道に乗せるためには、この濃度の上昇を劇的に食い止めなければなりません。
それには、人々のニーズと地球のニーズを一致させなければなりません。今年は、とりわけUNEPと世界気象機関(WMO)が主催した「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第5次評価報告書において、これまでになく冷静かつ詳細に科学的な現実が概説されています。
しかし今年は、ありのままの科学や暗い影響に目を向ける年であるばかりでなく、驚くべき飛躍を遂げる年でもあります。実際には現在のところ、今世紀の地球の気温上昇を摂氏2度以内に抑える結果にはなりそうにありません。しかし、多くの政府が新たなレベルの目標を示しており、仮にそれらが拡大・加速されれば、すべての人にとってより安全かつ健康で豊かな未来への最初の架け橋となるかもしれません。以下に、そのごく数例を挙げます。
・モロッコは最近、2020年までに42%とする再生可能エネルギー目標を発表した。太陽光関連のプロジェクトだけでも90億ドルとなる見込みだ。
・欧州連合(EU)は2030年に向けた目標として、二酸化炭素排出量40%削減、再生可能エネルギー割合27%を提示した。
・メキシコのラパスでは、発電容量30メガワットのプロジェクトとして、ラテンアメリカ最大と目される太陽光発電所の建設がスタートした。
・今や世界最大の風力発電国となった中国だが、昨年は記録的な12ギガワットもの太陽光パネルを導入し、今年はさらに14ギガワットを導入する予定である。
・ジャマイカは2030年までに電力の20%を再生可能エネルギーでまかなう計画である。
・発電容量21メガワットのジャマイカのウィグトン風力発電所など、多くのクリーンエネルギープロジェクトは、京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)の支援を受けています。実際に、2011年に行われた途上国の再生可能エネルギー投資の半分はCDMプロジェクト関連でした。
・発電容量21メガワットのジャマイカのウィグトン風力発電所など、多くのクリーンエネルギープロジェクトは、京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)の支援を受けています。実際に、2011年に行われた途上国の再生可能エネルギー投資の半分はCDMプロジェクト関連でした。<以下略>
原文URL: http://www.ourplanet.jp/PDF_files/OurPlanet_Vol35.pdf
このように各国、CO2削減の努力をしているが日本のとっている態度は次の通りである。
2012年12月、カタール・ドーハで約2週間にわたり行われていた気候変動枠組み条約第18回締約国会議(COP18)は8日、温室効果ガスの排出削減など世界的な気候変化に対処するための京都議定書の効力を2020年まで8年間延長することを決めて閉幕した。
会議には195カ国の代表が出席し、欧州連合(EU)をはじめとする38カ国は20年までに温室効果ガスの排出量を、1990年に比べ最大20%削減することを約束した。08−12年の削減目標は8%だった。しかし、これまで議定書に参加していた日本、カナダ、ロシア、ニュージーランドの4カ国は「延長後は法的な削減義務を負わない」として京都議定書から事実上離脱した。米国は議定書発効時から削減義務履行を拒否していたが、2014年からの約束期間には批准した。
日本は東日本大震災からの復興が最重要課題であると言うのが議定書からの離脱理由であるとしているが、復興がなぜCO2削減の阻害要因となるのかは全く不明である。ちなみにこの決定に対し、日本の産業界は大歓迎の意志を表明している。 |