パッシブ冷暖房を後付で実現するセラミック熱交換器を使った吸排気システム。
ブログ管理人
環境に優しいとか可能な成長と言うと、日本ではまず太陽光発電や風力発電を連想する人が多いのではないだろうか。福島原発事故があったので、さすがに原発に持続可能性が有ると考える人は少なくなったと思う。しかし、成長経済と言うと何か、今よりもっとエネルギーが必要であると考える人が多く、新たにエネルギーを作り出す装置を考えてしまうようである。
先月のことになるが、ブログ管理人の住む東京近郊の人口40万人の市の市長と話す機会があった。この市の11の小中学校の校舎が東京都の予算で、低エネルギー化改築を行ったと言う。校舎を外側断熱にして、窓枠と窓ガラスを断熱性と気密の良いものに変えた結果、エネルギーコストが30%下がったと言う。これに熱交換式の強制換気システムを加えれば更に数10%の省エネが可能になりますよと加えたが、東京都がやってくれた工事で市としての要望ではないので言われるままにやっているだけとの事であった。建築の低エネルギー改築ではいとも簡単にエネルギーの節約が可能である。いかにこれまでの建築物が、エネルギーをふんだんに使う設計になっているかと言う証拠と言える。
日本のマンションでは、オール電化が標準である。断熱も気密性も悪い建物に、強力なエアコンと夜間式電気温水器による給湯が普通である。特に夜間式電気温水器による給湯は、EUではすでに禁止されている。給湯は、風呂場、洗面所、台所にそれぞれ設置する瞬間湯沸かし式の給湯(電気あるいはガス)の方が、約60%の省エネになる。日本では、原発推進の為に発電量を調整する事ができない原発の夜間電力をむりやり使わせる目的で、電力会社と政府が一体になってオール電化を推進してきた結果である。
ドイツ人の若い技術者クリスチアン・ドイティンガー(Christian Deutinger)氏が立ち上げた、パッシブエネルギージャパン(Passiv Energy Japan)と言う会社が開発した、ドイツのセラミック熱交換器を使ったダクトレス熱交換器「せせらぎ」と言う商品がある。この商品は、日本の住宅に標準的に付いている換気口に設置できるサイズに作らており、既存の住宅に後付けが簡単にできる。
冬は暖められた室内の空気をまず、「せせらぎ」を通じて外に排出すると、排出する時に熱交換器のセラミックを温めて蓄熱して出て行く。タイマーで設定された時間だけ排出をおこなうと、次は吸気に切り替わりこんどは、外の冷たい空気がこの熱交換器に蓄熱された熱で温められて室内に入ってくる。つまり、空気の入れ替えはするが、温度は失わないしかけである。使う電力は3.4Wと小さいが、20℃の室内の空気を「せせらぎ」を経由して排出される空気の温度は2℃にまで下がり、0℃の外気を吸入すると18℃に暖められて室内に入ってくる。これにより、最大94%の省エネができると説明されている。
この条件になるためにはある程度の断熱と気密性が必要になるのではないかと思われるが、大変に興味深い装置である。現在ブログ管理人も自宅の集合住宅に設置が可能かどうか問い合わせ中であるので、今後の報告できるような進展があれば、その都度報告をしたいと思っている。
パッシブエネルギージャパンのホームページに詳しい。また、ドイティンガー氏は大の日本通で、達者な日本語で自分の事を詳しく書いているのも面白い。
URL:[url] http://www.passivenergie.co.jp/[/url] |