ダンテの森    
02 Nov 2014 04:03:27 pm
国際社会で孤立する日本
COP20準備会合 温室ガス削減、国別目標案 6月に相互検証
毎日新聞 2014年10月27日 東京朝刊

 ドイツ・ボンで開かれていた国連気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP20)の準備会合は25日、温室効果ガスの国別削減目標案を各国が相互に検証する会合を来年6月に開くとの議長案をまとめ閉幕した。日本は東京電力福島第1原発事故の影響で、目標提出時期のメドが立っておらず、国際交渉から取り残される懸念がある。一方、世界では産業界のリーダーたちが温暖化の脅威に対応するため、積極的な対策に取り組む姿勢を打ち出している。【阿部周一、ボン渡辺諒】

決められぬ日本、瀬戸際

 「EU(欧州連合)はかなり野心的だ。日本も早く目標を決めなければやり玉に挙げられかねない」EUが、2030年までに1990年比で「少なくとも40%削減」とする新目標を世界に先駆けて決定した23日、準備会合の会場の外で、日本政府交渉筋がつぶやいた。EUは準備会合の会場で記者会見を開き、「目標検証の重要性を考え、早めに提出した」と新枠組み交渉の主導権を握る意気込みを見せた。日本とは対照的だった。

 20年以降の温暖化対策の新しい国際枠組みは、先進国だけに削減を義務づけた京都議定書に代わり、途上国も含めたすべての国が参加し、自主的な目標を掲げることになっている。来年末にフランス・パリで開くCOP21での合意を目指している。だが、緩やかな自主目標で各国が削減を進めるのでは、産業革命(18〜19世紀)後の気温上昇を2度未満に抑えるという、国際目標達成は困難との見方が強い。そこで重要なのが、各国が出した目標案が妥当かどうかを検証した上で決定する仕組みの導入だ。昨年のCOP19で、準備ができた国は来年3月までに目標案を提出することが決まった。今回は、各国の目標案を公開して質問を公募▽来年6月に妥当性や公平性などについて検証する??という議長案が示された。

 2大排出国である中国、米国は、来年3月までの目標提出を準備会合までに明言。一方、報道陣から目標の提出時期を尋ねられた日本政府関係者は「できるだけ早く提出する」と繰り返すばかりだった。福島第1原発事故後、二酸化炭素(CO2)排出量を左右する原発などの電源構成をどうするかが決まっていないことが目標を決められない大きな理由だ。電源比率の決定は全国の原発立地自治体に影響するため、来年4月の統一地方選後にずれ込むとの見方も出ている。

 実際、20年以降の削減目標作りは、24日に議論が始まったばかりだ。環境、経済産業の両省の合同審議会では、経済団体出身の委員から「拙速に決めるのは避けるべきだ」「国内対策はその効果や国民負担を考えて検討すべきだ」との意見が相次いだ。温暖化交渉に詳しい高村ゆかり・名古屋大教授は「このままでは、日本が(森林がCO2を吸収する量を削減量として認める)森林吸収源など有利な条件を引き出すことは困難だろう」と話す。

海外企業は積極姿勢

 「気候変動を巨大化させないように、経済と環境とを両立させなければならない。技術革新を起こし、目標を高く掲げることで、その道は見えてくる」安倍晋三首相ら各国首脳が米ニューヨークの国連本部に顔をそろえた9月23日の「気候変動サミット」開催前日、米アップル社のティム・クック最高経営責任者(CEO)は、関連行事でこう述べ、自社のデータセンターの電力を100%再生可能エネルギーでまかなう取り組みを紹介した。

 行事はサミットを前に、産業界の機運を盛り上げる目的で開かれた。産業界の力を借りて、難航する交渉を打開したいとの国連側の狙いがある。金融や食品業界などから多数の国際企業トップたちが参加した。スウェーデンの家具販売大手、イケアグループの環境部門幹部は「今後15億ユーロ(約2,055億円)を再生エネに投資し、2020年までに100%再生エネ利用に転換する」と宣言。参加企業は、温暖化対策を通じて持続可能な経済成長を実現するための政策提言を行うネットワークを発足させ、1000社以上が名を連ねた。

 産業界のこうした積極姿勢の背景には、温暖化を放置していると、食料や水の不足、海面上昇や洪水などによる生産・流通網への打撃などが深刻化することが、徐々に現実として見えてきたことがある。例えば、近年ハリケーンの被害が相次ぐ米国で、5月に公表された民間の調査報告書は、「海面上昇によって、50年までに全米の既存の不動産のうち660億?1060億ドル相当が海に沈む」「被害を軽減する適応策を取らなければ、一部で穀物の平均年間収量が最大50〜70%減る」と指摘。ハリケーン以外にも米国内の産業活動を阻害するリスクを紹介している。

 11年にタイで発生した大規模洪水が、現地に生産拠点を置く日本企業に大きな損害を与えたように、温暖化の影響は特にグローバル企業にとって死活問題となりつつある。一方で、企業の温室効果ガス削減対策は、それぞれの国内の削減策に役立つ。9月の行事でクックCEOと公開対談した国連気候変動枠組み条約のフィゲレス事務局長は「企業にとって温暖化対策は被害を防ぐだけでなく、成長のチャンスでもある。民間企業が低炭素事業に投資できるように、各国政府が地球全体の長期的な温室効果ガス削減目標を掲げることが重要だ」とアピール、交渉の加速を促した。

原文URL: http://mainichi.jp/shimen/news/20141027ddm003040110000c.html

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 以上が毎日新聞の記事であるが、これを何の予備知識もなく読むと日本がこの枠組み条約締結国会議(COP20)に出席しているので、他国並みに一応やっているように思われるかも知れないが、実際には2014年1月から始まった京都議定書第二約束期間から日本は離脱している。先月韓国平昌(ピョンチャン)で開かれた生物多様性国際会議でも安倍政権は批准を見送っている。国際社会は、脱エネルギー消費経済(グリーン経済)へと舵を切っているのだが、安倍首相に率いられた日本はひとり昔の路線をひた走りである。
カテゴリー : 他メディアより | Posted By : dantesforest |
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